EUの著作権改革計画は先月、大規模な抗議に直面し、改めて議論されることになった。つまり、問題の「著作権フィルター」を含む当初の提案に変更が加えられる余地が生まれたということである。この動きを後押しし、反対の声がリアルであることを示すため、ウェブを越えた抗議活動が欧州各地で実施される。
先月、欧州議会は、慎重な計画と交渉を経て、新たな著作権指令案に関する投票を実施した。
この提案は、有力会派やエンターテイメント業界の後押しを受けていたため、そのまま成立するだろうと目されていた。
この著作権指令案は、法学者やインターネットのパイオニア、活動家、そして加盟国市民からの強い反発を受け、改めて議論を行うことになった。こうした反発の背景には、第13条「アップロードフィルター」があった。
EUが提案した著作権改革に期待していた人たちには、この投票は大打撃だっただろう。SOPAとACTAの失敗に続く、三度目の挫折となるのだが、一部のエンターテイメント業界関係者は、これを不正行為だと主張しだした。
彼らは、この草の根抗議活動が自動化ツールによってドライブされたものであり、その結果、議会メンバーは膨大な抗議メッセージの「スパム」に襲われたのだと主張する。さらに、その背後には、Googleなどの大手テクノロジー企業が潜んでいるという。
こうした言いがかりは主要メディアによっても報じられ、現在は刑事事件としての捜査を求める声も上がっている。
もちろん、アップロードフィルターの反対者たちが同意することはないだろう。彼らはこうした言い分への反論として、そしてさらに重要なこととして、著作権改革の提案がより良いものにするために、今月末に欧州各都市で街頭デモの実施を計画している。
海賊党のジュリア・レダ欧州議員は、こうした抗議デモに参加し、声を上げ、反対の声の背後には実際の人間がいることを示そうと呼びかけている。
「私たちはまだ勝利してはいません。7月の投票に負けてショックを受けたアップロードフィルターやリンク税の支持者たちは、反対の声を軽視させるために便利な言い分を思いついたのです」とレダ議員は綴っている。
「彼らは抗議がすべて虚偽であり、ボットによって生成され、大手インターネット企業によって仕組まれたものだと主張しています。さらに彼らは、ヨーロッパ人は実際には表現の自由など気にしてはいないのだと言います。私たちは、私たちの声を十分に聞くことのない立法過程を大事だとは思っていません。私たちのインターネットは企業の利益のために制限されている――だから私たちは立ち上がるのです」
これまでのところ、およそ100万人がネット上の署名で著作権改革計画への反対を表明している。レダ議員の訴えは、キーボードから離れて、同じことをしようということだ。
9月12日、欧州議会で著作権指令案の進め方に関する投票が行われることになっているが、その2週間前の8月26日に抗議デモが計画されている。
「わたしたちの目標は明確です。プラットフォームにアップロードフィルタを義務づけず、著作権を拡張してリンクやスニペットを脅かすことにないような第13条と第11条の代替案を議会に採用させることです」とレダ議員は指摘する。
市民による抗議活動は、ベルリン、リュブリャナ、プラハ、ストックホルム、ウィーン、ワルシャワを含む複数の都市で実施される。主催者は数十万の人々が街頭を行進したATCAの抗議デモの再来を望んでいる。
そうなれば確かに影響は大きいだろう。
この著作権指令案を巡っては、反対派と賛成派の緊張が高まり続けている。後者はデモ活動の規模が小さいことを祈っているのだろうが、たとえ参加者が多くても、抗議デモが実施される都市にはGoogleのオフィスが存在しているという言い訳は残されているので安心してほしい。
Europeans Take “Upload Filter” Protests to The Streets – TorrentFreak
Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: August 15, 2018
Translation: heatwave_p2p
Materials of Header Image: Sam Rodgers / stux