TorrentFreak

人気のファイルホスティングサイトRapidVideoは、もはや広告による資金調達では維持できないとして、ビジネスモデルを変更することを発表した。同社によると、Kodiアドオンなどのツールを利用した「フリーローダー(タダ乗りの)」ユーザは、収益を生み出すことなく、サイトの帯域のおよそ半分を消費しているという。

MPAA(米国映画協会)が 2017年後半に発表した統計によると、3800万ものKodiユーザのうち約70%が、海賊版コンテンツを利用するために同プラットフォームを使用しているという。

これ以降、新たな統計は公表されてはいないものの、その当時ですら約2600万人が『海賊版』アドオンをインストールしたKodiを使用していたというのだ。その多くは、許可なく映画やTV番組へのアクセスをのための利用している。

Kodiアドオンユーザが海賊版コンテンツにアクセスするには、そのコンテンツがインターネットのどこかに保存されていなければならない。それは通常、今日利用可能な多数のオンラインストレージプロバイダのどれか1つということになる。そうしたプロバイダは、サイバーロッカーと呼ばれることもあるし、単にファイルホスティングサイトと呼ばれることもある。

Kodiアドオン上にコンテンツへのリンクが登場するというのは、そのプラットフォームとの間に何らかの共存関係が存在することを示唆しているが、一般にファイルホスティングプラットフォームは、そのような形態のリンクを好ましいとは思っていないようだ。

2016年に報じたように、サイバーロッカーはしばしば広告を通じて収益を生み出している。だが、多くのサードパーティ製Kodiアドオンは広告を視聴者に表示しないようにしているため、ホスティングサイト自体に収益がもたらされることはない。

そうした影響を受けるサイトの1つが、「CDNビデオホスティングサービス」と称する人気のファイルホスティングサイトRapidVideoだ。同プラットフォームはしばらく前から、Kodiアドオンなどのツールを利用する『タダ乗り』ユーザの影響に頭を悩ませてきた。

そのRapidVideoが、ウェブマスターフォーラム「WJunction」の投稿のなかで、従来のビジネスモデルを転換することを明らかにした。

「もはやインターネット広告では(訳註:事業を続ける上で十分な)資金を調達することはできない」と同社は記している。

過去3年、RapidVideoは同サービスの悪用に苦しめられてきたと述べている。その大半が、広告表示を回避するKodiアドオンなどのツールに起因しているという。しかも、同社の帯域のおよそ半分をそうしたアクセスが占めているという。

「当社が使用する約650Gbit/sのうち、320Gbit/s が広告収入の得られないKODIやダウンロードツールなどを介したアクセスである」という。

ほかにも広告詐欺や不正なホットリンクなどの問題も抱えているが、RapidVideoは月額5ドルのサブスクリプションを導入するなど、複数の対策を講じることで問題を解決できると考えている。

「プレミアムアカウントを導入すれば、これらの詐欺を効果的に抑止でき、uploaded.netやuptobox.comなどのように広告フリーで運営できる」と同社は述べている。

同社はまた、ペイパービュー報酬プログラムを終了させるという。つまり、アフィリエイターがアップロードしたコンテンツが視聴されても、そこから稼ぎを得ることはできないということだ。同サービスのユーザはこの知らせに不満をつのらせているが、昨年、ハリウッドから寄せられた非難に対応したものでもある。

2018年、MPAAをはじめとする業界団体は、米国通商代表部(USTR)に「悪名高い市場」リストを提出した。その中にはRapidVideoが含まれており、とりわけアフィリエイトプログラムへの非難が集中した。

「同サイトは、アフィリエイトプログラムを介してユーザにコンテンツをアップロードするよう奨励している。視聴者の居住国に応じて、10000回の視聴あたり7.50〜60ドルが支払われている」とMPAAは述べていた(訳註:現在のレートでは5〜30ドル

MPAAはほかにも批判を加えているが、RapidVideoはこれに反論している。同社は削除要請を処理し、指定されたDMCAエージェントを置き、侵害を繰り返すユーザに対するポリシーを設け、さらには削除されたファイルを再アップロードされないようフィルターシステムを導入しているという。

アップデート:RapidVideoのAllexから、TorrentFreak宛に追加情報が寄せられた。曰く、ペイパービュープログラム終了は、別の人気サイトと共に決定されたものであり、そのサイトも同様に終了するという。

RapidVideoはさらに、Kodiアドオンが広告を回避し、HTML5ビデオプレイヤーから直接ビデオURLを抜き出して使用しているという。これが広告収入減少の大きな要因になっている。

「当社は、1ポップアップ・パー・ビュー(1視聴につき1ポップアップ)をベースにスタートしたサービスです。サービスが成長していくに連れて帯域は増加していきましたが、広告ネットワーク収入はそれに見合うほどには成長していません」

Freeloading Kodi Add-On Users Are Undermining RapidVideo – TorrentFreak

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: April 07, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Pixabay