TorrentFreak

ここ数ヶ月、Sci-Hubは科学研究における著作権のあり方について、学術界に論争を巻き起こしている。大手学術出版社から訴えられてはいるが、サイトの運営は続けられており、ますます人気を高めている。そしてそのユーザたちは、1日に数十万本の論文をダウンロードしている。

「情報は自由になりたがる」は、著作権の議論のなかで一般的に用いられて
いるフレーズだ。普遍的に当てはめることはできないかもしれないが、学術界には非常に関連している。

情報や知識は科学の基礎である。しかし、いまだたくさんの重要研究が、高額なペイウォールの内側に閉じ込められている。

しかし、ほかのデジタルコンテンツと同様に、自由かつ無許諾のアクセスを提供することに特化したサイトが存在する。Sci-Hubは学術界における海賊版「オープン・アクセス」の象徴となっている。

昨年はじめ、大手学術出版社Elsevierは、Sci-Hubの運営者による組織的な著作権侵害が行なわれているとして、ニューヨーク地裁に提訴した

しかし、Sci-Hubを止めるどころかサイトに注目が集まる結果となり、学術におけるペイウォール問題の中心に置かれることになった。古典的なストライサンド効果が実演されてしまったことで、Sci-Hubのユーザは増加し、多くの学者たちがサイトへの支持を表明した。

Sci-Hubの創設者Alexandra Elbakyanによると、数万人のユーザが論文をダウンロードするためにアクセスしているのだという。先週のデータでは、1日平均で69,532ユーザが217,276本の論文を(1セントも支払うことなく)ダウンロードしているという。

インド、中国、イラン、米国、ロシアがもっともダウンロードの多い地域である。米国を例外とすれば、これらの国々の研究者たちは高額な費用やその他の制約のために、研究論文へのアクセスが制限されている。

Sci-Hub
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その莫大なユーザ数以上に重要なのは、Sci-Hubと学術出版における著作権の役割について、活発に議論されていることだろう。

Sci-Hubの取り組みは多くの学生たちに支持されており、彼らは税金によって助成された研究は万人にアクセスできるようにすべきだと主張している。一方、支持しない人たちは、Sci-Hubはオープン・アクセス運動を前進させる助けにはならないという。

Elbakyanは、Sci-Hubが研究結果への自由なアクセスを提供することによって、特権的な地位にいない数百万の研究者たちが自らの研究を正当に行う手助けとなっていると説明する

激しい議論が巻き起こっている一方、Elbakyanは訴訟を起こされたことを残念に思っているだろう。ただ、将来、米国の裁判所が判決を下したとしても、Sci-Hubがすぐさま閉鎖されることはない。

既にElbakyanは仮差止命令によってサイト運営に関与することを禁じられているし(何の効果もないが)、必要とあればサイトのドメインを簡単に切り替られることも証明済みだ。

依然として大手メディアはこの件に大きな関心を示している。Sci-Hubはこれからもその存在感を高めていくことになるだろう。
“Sci-Hub Helps Science ‘Pirates’ to Download 100,000s of Papers Per Day – TorrentFreak”

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: February 29, 2016
Translation: heatwave_p2p