以下の文章は、TorrentFreakの「Ads on Pirate Sites Can Hurt Sales, Survey Finds」という記事を翻訳したものである。

TorrentFreak

海賊版サイトに広告が掲載されると、特定ブランドに深刻な悪影響を及ぼす可能性があることが新たな調査によって明らかになった。Trustworthy Accountability GroupとBrand Safety Instituteのレポートによると、海賊版サイトに広告が掲載されていると、消費者の大多数はその企業製品の購買意欲が減退するという。とはいえ、そのような代表的消費者が実際に海賊版サイトを利用しているかという点には疑問の余地がある。

近年、さまざまな著作権団体が、海賊版サイトへの資金流入を阻止すべく「follow-the-money(金の流れを追え)」アプローチを模索している。

RIAAやMPAAなどの大規模な著作権団体は、これを効果的な戦略と捉えている。その最終目標は、海賊版サイトから収入を奪うことだ。

このプロセスを前進させるべく、さまざまな自主的イニシアチブが設立されている。そのなかには、Amazon、Google、Facebook、Disney、Warnerなど大手事業者が運営する海賊版対策認証プログラム「Trustworthy Accountability Group(TAG)」がある。

TAGは、できるだけ多くの広告主と広告ネットワークの参加を募り、『怪しげな』ウェブサイトに広告を表示させないようにすることを目標に掲げている。こうした取り組みは、単に企業の良心だけを反映したものではない。TAGとBrand Safety Institute(BSI)が実施した新たな調査によると、賢明な経営判断でもあるようだ。

米国の成人1017名を対象に行われたこの調査では、回答者は怪しげなサイトに広告が表示されないよう広告主は対策すべきかどうかを尋ねられた。さらに、海賊版サイトでブランド広告を閲覧した場合、購入意欲に影響を及ぼすかどうかについても質問された。

調査の結果、多くの人が広告主に『危険な』サイトに広告が表示されないようにしてほしいと考えていることが明らかになった。なかでもヘイトスピーチ、ポルノ、安全でないサイトが最も問題のあるサイトだとみなされ、そこから大きく離れて海賊版サイトが追随している。回答者の53%が、これらカテゴリーのサイトへの対策を期待していると回答した。

そうしたサイトで広告に出くわした場合、実際の購入意欲に影響を及ぼすかという質問の結果も明白であった。ここでは「テロリスト養成ビデオ」という新規カテゴリーがトップで、回答者の9割が購入意欲が減退すると回答した。海賊版サイトの場合には82%だった。

買う気が失せる?(出典:TAG

好ましくないサイトに広告が掲載されると、評判に傷がつき、売上が減少する可能性があることは明らかだが、調査結果の詳細から見えてくるニュアンスを知っておくことも重要だ。

海賊版サイトで広告を見た後に購入意欲が削がれるかという質問では、18%が購入意欲に影響しないと回答した。海賊版サイトを実際に利用している人たちの大半がこの中に含まれていたとしても、さして驚きはない。

逆に、残りの82%の大多数は海賊版サイトに一度も訪問したことがない可能性があり、そうなるとそもそも海賊版サイトで広告を目にするということもないだろう。

だが、TAGのCEOでBSIの共同設立者でもあるマイク・ザナイスは、この調査によって不適切なサイトへの広告掲載の危険性が示されたと強調する。「この調査は、回避可能なブランドセーフティ・クライシスから企業収益に及ぼしうる現実かつ測定可能なリスクを浮き彫りにしている」と彼はいう。

「評判への悪影響を測定するのは困難だが、ヘイトスピーチやマルウェア、海賊行為などのリスクからサプライチェーンを保護する十分な措置を講じていないブランドに対して、消費者は財布の紐を締めることで意思を表明しようとするのだろう」

この調査結果は、TAGにとっては素晴らしい宣伝メッセージだ。より多くの企業が参加してくれれば、彼らのキャッシュフローも改善するだろう。

TAGの会員企業になるには決して安くはない費用が求められる。基本の会員パッケージは1万ドルからで、広告主向けの『Thought Leadership』パッケージには6万5000ドルが必要だ。広告代理店や『アドテク』企業にも門戸は開かれているが、TAGはさらに高額な費用を要求している。

大手ブランドのなかには、安全性を確保するために喜んで高額な費用を支払う企業もあるだろうが、すべてがそうというわけではない。コストの問題は別としても、一部のブランドや広告代理店は、海賊版サイトへの広告掲載の禁止に関心を持ってすらいない。

過去にも指摘したように、あえて海賊版サイトと連携する広告代理店も少なくない。実際、多くの広告主や広告代理店の中には海賊版サイトをターゲットにしているところも数多く存在している。

DMCAForceはまさにそのような企業だ。CEOのマーク・ボウマンは以前、著作権者とウェブサイト運営社の双方を満足させるためのソリューションを模索していると語っていた。

ボウマン氏によると、彼の広告会社はどんなサイトでも禁止したりブロックしたりしたくないという。海賊行為に報酬を与えたいわけではないが、サイト運営者と著作権者とのWin-Winな協調関係を目指しているというわけだ。

結局のところ、海賊版サイトの訪問者も消費者である。TAGの調査で示されたように、こうしたサイトに広告掲載されれば一般大衆からの受けが悪いというというのはおそらく正しいのだろうが、この手のサイトのユーザが同様の意見を持っているかどうかには疑問が残る。

この点に関して、TAGの調査では、海賊版サイトで広告を見た後で購入意欲が増すかどうかという視点を盛り込んでいなかったことは注目に値する。もしそうしていれば、価値ある別の視点が提供されたかもしれない。

Ads on Pirate Sites Can Hurt Sales, Survey Finds – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: August 14, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Denise Bossarte / OpenClipart-Vectors