以下の文章は、TorrentFreakの「Japan Pirate Site Traffic Collapsed 50% in Four Months, With a Little Help From Cloudflare」という記事を翻訳したものである。

TorrentFreak

国際映画協会のレポートによると、日本を中心とした海賊版サイトへのトラフィックは2018年3月から6月にかけて半減した。その大部分は大規模な海賊版漫画サイト「漫画村」と2つの同様のプラットフォームの閉鎖に起因しているという。興味深いことに、海賊版サイトの助長を批判されているCloudflareが提供した情報が、漫画村運営者の身元を明らかにしたという。

2018年4月、日本政府は漫画村、AniTube、MioMioの3つの海賊版サイトへのブロッキングをISPに求める緊急ウェブサイトブロッキング措置を要請した。

そのわずか4日後、巨大漫画プラットフォーム「漫画村」は突然サイトを閉鎖し、海賊版市場に大きな空白を生み出した。

漫画村に対してはすでに捜査が行われていたことが明らかになり、最終的にサイト運営者とされる人物がマニラで拘束、日本への強制送還後に捜査当局に逮捕された

漫画村の規模はこれまでにないほどの大問題を引き起こした。しかし国際映画協会が公表したレポートによると、海賊版漫画市場のみならず、日本全体の海賊版市場においてもその重要性が明らかになっている。

同レポートでは2600サイトのリストを作成し、2017年7月から2019年7月までの期間、映画、テレビ番組、アニメ、漫画のコンテンツを提供する、日本からのアクセスが大半を占める海賊版サイト/アプリのうち、音楽、ゲーム、ポルノに特化したものを除外した1447の「海賊版」サイトを対象としている。

訪問者の最も多い上位10サイトは、全1447サイトの訪問者の約50%を占め、上位100サイトでは90%以上を占めていた。同レポートでは、月間訪問者数が10万を超えるサイト(計624サイト)について詳細な分析を行っている。

同レポートでは漫画村を「オンライン・リーディング」サイトに分類しており、これはブラウザを通じてコンテンツを閲覧していたことを意味している。以下のグラフは、漫画村の劇的な増減を他の「海賊版」消費の形態にプロットしたものだ。

Mangamuraの盛衰

上記の画像が示すように、「オンライン・リーディング」サイトのみならず、他のすべてのジャンルの「海賊版」消費が漫画村の閉鎖とともに激減していたことがわかる。

レポートによると、政府が漫画村、Anitube、MioMioに対するISPブロッキングを促したことが「他の海賊版サイトへの訪問数に大きな影響を与えた」結果、海賊版サイト全体へのトラフィックが減少したという。とはいえ、3サイトともブロッキングされる前に閉鎖している。

要するに、レポートにおいて詳述された海賊版市場全体への影響は、大規模な海賊版漫画プラットフォームの閉鎖と政府の海賊版対策へのスタンスにおいて重要であるということなのだろう。

同レポートによると、調査対象の624サイトへの月間訪問者数は2018年3月時点で6億4000万人だったが、その1ヶ月後の2018年4月には4億人強にまで落ち込んだ。トラフィックの減少は2018年6月まで続き、同月には月間訪問者数は3億2000万人にまで減った。

2018年6月以降、対象サイトへのトラフィックは僅かに増加しただけである。レポートでは、著作権侵害全体の規模は「依然として大きい」と指摘している。同レポートの最新のデータでは、月間訪問者数は2018年6月から2000万人増えて3億4000万人と推定している。

最後に、海賊版に関するレポートを作成するにあたっては、Cloudflareに触れないわけにはいかないだろう。それはこのレポートも同じである。

調査者は、対象の624サイトのうち39%の最終的なホスト国を特定しているが(上位3カ国は米国9%、日本6%、オランダ5%)、残る61%は特定できなかった。そのうち86%はCloudflareのサービスによって隠されていた。

だが興味深いのは、Cloudflareが日本の出版社からの要請に応じ、捜査当局が漫画村運営者を特定可能な情報を提供をしていたということだ。これが最終的に漫画村の閉鎖と運営者の逮捕につながった。

「Study Benchmarking and Tracking Online Film & TV Piracy in Japan」レポート全文はこちらから(pdf)

Japan Pirate Site Traffic Collapsed 50% in Four Months, With a Little Help From Cloudflare – TorrentFreak

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: November 08, 2019
Translation: heatwave_p2p
Header Image: Martijn Baudoin