以下の文章は、TorrentFreakの「Disney+ Launched and Pirates Love It, Especially Mandalorian」という記事を翻訳したものである。

TorrentFreak

今週、ディズニー独自のストリーミングサービスが3カ国でスタートした。このDisney+プラットフォームに多くの人が加入する一方、別の人々は海賊版サイトに向かった。海賊版サイトだけが待望の『マンダロリアン』シリーズを視聴する唯一の手段という人もいるためだ。これはディズニーにとって予想外ではなかったらしく、同社は即座に削除要請を送付して損害を抑えようとしている。

2年前、ディズニーが独自のストリーミングサービスを開始すると発表したとき、我々はこれが海賊版の問題からは逃れられないだろうと指摘した。

つまり、新たな有料ストリーミングサービスの登場は、正規市場をさらに細分化する。これは一時的にではあるが、海賊行為を動機づける要因となるかもしれない。

最近の調査でも、予算が限られている人は有料ストリーミングサービスの細分化に当然の懸念を示している。だが、金だけの問題というわけでもない。

Disneyは最初のサービス提供を米国、カナダ、オランダの3カ国に限定しており、海賊版への誘惑は強まるばかりだった。世界のほとんどの地域のスターウォーズファンは、海賊版を利用しない限り待望の『マンダロリアン』シリーズを視聴できないのだ。

こうした背景を念頭に置き、我々は今週のDisney+のローンチを注意深く見守ってきた。大々的なメディア報道もあって、多くの正規加入を促したことは違いない。だが、それと同時に海賊版サイトもバズっていた。

Disney+がサービスを開始した直後から、海賊版の第一波が拡散しはじめた。はじめのうちはプライベートなコミュニティに出回り、その後はパブリックトレントサイト、サイバーロッカー、適法とは言い難いストリーミングプラットフォームへと広がっていった。数時間後には、『マンダロリアン』の海賊版は至るところに拡散されていった。

海賊版の流通自体はさして驚くべきことではない。Disney+は他のストリーミングサイトと同様にWidevine DRMを使用しているため、そのビデオをダウンロードしたり「リッピング」するのはそれほど難しいことではない。

実際、各種海賊版サイトをざっと見わたしてみたところ、Disney+独占のはずの『マンダロリアン』の第一話は、さまざまなフォーマットで広く入手できるようになっている。

この2日間、『マンダロリアン』は最も海賊版流通が盛んなコンテンツになり、ダウンロード/ストリーミング回数はすでに数十万回に達している。次の『ゲーム・オブ・スローンズ』というほどの規模ではないものの、その可能性は十分に秘めている。

世界のほとんどの地域でDisney+を利用できないという事実は、『ゲーム・オブ・スローンズ』が初めて登場した際のHBOの状況に類似している。こうした状況は海賊版への需要を生み出す。つまり、英国やオーストラリアで『マンダロリアン』を視聴するには、海賊版に頼る以外の選択肢がないのだ。

Disney+の地域限定的な展開は、実際に新たな海賊ユーザを生み出す可能性もある。そうなると懸念されるのは、各国で正式にストリーミングサービスが開始されても海賊版への依存を止めない可能性があるということだ。

だがディズニーの海賊版対策は現時点では別の領域に振り向けられている。同社は『マンダロリアン』の海賊版コピーをホストしたり、そのコピーにリンクする数千のURLに対して、削除要請を送付している。また、Googleに対してもこれらのページを検索結果に表示しないよう要請してもいる。

世界最大規模のエンターテイメント企業であるディズニーにとって、こうした海賊版の懸念は予想外のことではないのだろう。おそらく同社は、地域限定的なリリース、すでに細分化されているストリーミング業界への参入など、同社の判断のメリット/デメリットを比較検討しているのだろう。

現在のオンラインストリーミングビジネスでは、海賊版は所与の存在となっている。おそらくディズニーは独自にストリーミングプラットフォームを運営することで、最終的により多くの利益がもたらされると考えているのだろう。海賊版が出回ろうと、出回らまいと。

ディズニー社の判断はたしかに正しいのだろう。だがそれは一部の人たちの犠牲の上に成り立つものかもしれない。その犠牲者にはディズニーのライバルも含まれるのかもしれないが、海賊版を望まない消費者や、新たなサブスクリプション契約を結ぶ余裕のない消費者も含まれるのだろう。

Disney+ Launched and Pirates Love It, Especially Mandalorian – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: November 13, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Med PhotoBlog (CC BY-NC-SA 2.0)
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