以下の文章は、TorrentFreakの「Google Sees DMCA Anti-Circumvention Notices Skyrocket」という記事を翻訳したものである。
このところGoogleに反回避(アクセスコントロール/技術的保護手段の回避禁止)条項違反のDMCA通知を送付する著作権者が増加傾向にある。クレームの件数は前年に比べて急増しており、すでに昨年の2倍以上となっている。反回避条項に基づく通知は、異議を申し立てる標準的な手続きが整っていないこともあり、権利者にとってとりわけ有効な手段となっているようだ。
数週間前、RIAAが複数のYouTube変換/ダウンロードサイトに対し、なかなか珍しい削除要請をGoogleに提出していたことをお伝えした。
RIAAは一般的なDMCA著作権通知ではなく、Googleに対してDMCAの反回避条項に違反したとされるURLの削除を要請した。
この通知は効果的であったようで、FLVTO、2Conv、Y2Mate、Youtへのリンクが削除されると、RIAAはその範囲を他のストリーミングリッパーサイトにも拡大。数十件の通知で、数百のURLをターゲットにした。
こうしたDMCA反回避条項に基づく削除要請を行っているのはRIAAだけではない。任天堂やRockstar Gamesなどのゲーム会社、Netflixなども同様の手法を用いている。
著作権者にはありがたいことに、この手の通知には正式な異議申立の手続きが定められていない。つまり、誤ってサイトが標的にされたとしても、容易には反論することはできないということだ。だが、権利者にとっての利点はこれだけにとどまらない。
たとえ著作権を直接侵害していないサイトであっても、回避ツールとみなせるサイトもあるということだ。これにより、権利者は削除させられるURLの範囲を広げることができる。具体的にどういうものかというと、RIAAの最近の取組がまさにそれだ。
RIAAは11月、通常のDMCA通知で複数のストリームリッパーのURLを削除するようGoogleに求めたが、Goolgeはこれを削除しなかった。だが、その数日後にDMCA反回避条項違反の通知を送付すると、GoogleはそのURLを削除した。
最近、こうした反回避条項違反の通知が増加傾向にあるのはそのためかもしれない。こうした通知は、Googleの透明性レポートには掲載されていないものの、Lumenデータベースで今年中に提出された通知の数を調べることができた。
本稿執筆時点で、Goolgeに提出されたDMCA反回避条項違反の通知は6281件。こうした通知には複数のリンクが含まれていることも多く、場合によっては1件の申立に数百件のURLが含まれることもある。昨年には2960件で、今年にはいって大幅に増加したようだ。
2017年にはさらに少なく、正確に言えば921件だった。
現在の通知も(訳注:著作権侵害通知に比べれば)まだまだ控えめだが、これまでに見られていなかった増加トレンドが確認されたといえる。Googleに提出される通常の著作権削除通知が減少したことを考えると、反回避条項違反通知の増加は実に興味深い。
TorrentFreakは、RIAAに反回避条項違反通知に関してコメントを求めたが、拒否された。
Googleの検索結果からストリームリッパーを排除するために反回避条項違反は有効に機能していることを考えると、このキャンペーンは今後も継続しそうだ。この手法がさらに多くの権利者に知れ渡れば、その勢いはさらに増すことになるだろう。
Google Sees DMCA Anti-Circumvention Notices Skyrocket – TorrentFreak
Publication Date: December 08, 2019
Translation: heatwave_p2p
Header Image: 35mm