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米国通信業界団体のUSTelecomは、誤認にもとづく削除通知や、侵害を繰り返すユーザのアカウントを停止するという昨今の動きに、明確に反対する立場を表明した。彼らは、ISPが削除通知を処理する以上のことを求められる必要はなく、著作権者の主張だけで加入者のインターネット・アクセスが停止されるべきではないと強調している。

およそ20年ほど前、デジタル時代に対応した著作権法として、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)が誕生した。

DMCAはインターネット・プロバイダにセーフハーバーをもたらした。それにより、ISPは侵害を繰り返すユーザに『対処』する限りにおいて、ユーザの行った侵害を免責されることになった。

ISPは著作権侵害を繰り返すユーザのアカウントを停止することには消極的だが、法律上はアカウントの停止が認められており、規約上も「相応の」状況においてアカウントの停止がありうることが明文化されている。

一部の著作権者は、3度の警告で十分だと主張しているが、多くのISPはそこまでのことはしたくないようだ。

米通信業界団体のUSTelecomは、米著作権局に提出した意見書のなかで、DMCAのセーフハーバー条項は、ユーザによる著作権侵害の責任からインターネットの中間媒介者を守り、概して意図通りに機能していると指摘する。

しかしUSTelecomは、通常ISPはデジタル情報を通過させる単なるパイプとしてのみ振舞っており、DMCAセクション512(a)にもとづく削除申し立てに従う必要はないと強調する。つまり、ISPに対する削除申し立ては無効であるということだ。

「これらのサービス・プロバイダがデジタル・コミュニケーションのための単なるパイプとしてのみ振舞っている場合、ISPに著作権侵害の取り締まりのための何らかの責任を追わせるべきという提案は、DMCAには不適当かつ相反するものである」とUSTelecomは言う。

にもかかわらず、ISPは毎月数百万の削除申し立ての爆撃を受けている。

「こうした明確な慣例があるにもかかわらず、ISPはそのパイプとしての役割に関連して、膨大な数の無効な申し立てを受け取っている。これらの申し立てはしばしば、権利者がISPに消費者を代表しないよう仕向けるための圧力としての、不適当な『和解的』要求を含んでいる」

USTelecomは、単にトラフィックを通過させるだけのISPに、DMCAにもとづく削除申し立てを処理する義務はないと強調する。形式的にこうした情報を処理することはあっても、強制されるものではない、と。

もちろん、すべての著作権者がこのスタンスに同意するわけではない。実際、USTelecomは、複数の申し立てを受けたインターネット加入者に対して、より強い措置を講じるべきだという声も上がっていると指摘する。

「一部のケースでは、これら申し立ての送付者は、著作権侵害の疑いにもとづいてインターネットアクセスを停止するようISPに求めてさえいる。繰り返しになるが、単なるパイプとしてのISPは、たとえDMCAにおいてそうするよう義務づけられたとしても、評価できるようなものではない」

「こうした行為はDMCA申し立てプロセスの濫用を構成している。米著作権局はそのように認識すべきである」とUSTelecomは付け加える。

また、ISPがDMCA申し立てを処理するよう義務づけられたとしても、 インターネット接続の停止は行き過ぎであるという。USTelecomは、こうした通知は必ずしもその権限を持つ者から送られているわけではなく、送付者が著作権者を代表していないこともあると指摘する。

インターネットアクセスを失うかどうかの判断は裁判所に委ねるべきであり、インターネット・プロバイダが著作権侵害のクレームに基づいて単独で行うべきことではない。

「インターネット接続の遮断あるいは長期間の停止を正当化しようとする申し立ては、加入者からすべてのインターネットアクセスを奪う前に、何らかの司法審査を条件とすべきである」

「インターネットアクセスは、経済的にも、基本的人権を満たす意味でも、現代を生きるうえで必要不可欠である。司法による裁定もなく、消費者がそのような基本的かつ重要なツールへのアクセスを失っても良いなどとは到底考えられない」

USTelecomの意見書は、実に興味深いタイミングで著作権局のDMCAパブリック・コメントに提出されている。ちょうど数カ月前、Cox Communicationは、海賊版コンテンツを繰り返し利用する加入者の接続を遮断しなかったとして2500万ドルの支払いを命じられている。

USTelecomは明らかにこの判決に不服なのだろう。この裁判は現在控訴されているが、彼らは米政府が味方についてくれることを願っているに違いない。

“U.S. ISPs Refuse to Disconnect Persistent Pirates – TorrentFreak”

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: April 11, 2016
Translation: heatwave_p2p
Header Image: Sean MacEntee / CC BY 2.0