著作権者とケーブルテレビ会社は、セットトップボックス(Set-Top-Box)市場を開放しようとするFCCのプランに強く反発している。彼らは、規制緩和が海賊行為を助長し、セキュリティを脆弱にすると主張している。しかし、特筆すべき例外として、西部全米脚本家組合(Writers Guild of America West)はそうした懸念を否定し、消費者の選択の幅を広げれば、あらゆる層に利益がもたらされると述べている。
今年初め、連邦通信委員会(FCC)は、消費者が高額なケーブルボックスをサードパーティのデバイスやアプリに変更することを可能にする提案を承認した。
これまで、消費者はケーブルTVプロバイダから提供されるデバイスに高額な使用料を支払わされてきた。しかし、このルールが導入されれば、競争が促進され、料金は安くなると見られている。
この提案はオバマ大統領にも歓迎されたが、著作権者とケーブルTVプロバイダから強い抵抗を受けている。彼らは著作権侵害が激増し、ブランドを低下を招くという。
「今日、海賊行為を助長するデバイスやアプリケーションは存在しているが、この提案はそのようなデバイス、アプリケーションの魅力をさらに増し、さらなる損害を引き起こすものとなる」とMPAAは記し、さらに海賊版サイトがこの変更を自らの利益のために利用することになるという。
「ライセンス要件が無視され、コンテンツセキュリティが脅かされ、海賊行為やサービスの盗用が促進されることで、ビデオ配信エコシステム全体が危機にさらされることになる」とNBCユニバーサルとコムキャストはリプライコメントで述べている。
著作権産業の立場は上述したようなものが典型的だが、特筆すべき例外もある。西部全米脚本家組合(WGAW)が今週提出したコメントによると、海賊行為への恐れは大げさであるという。
ハリウッドや南カリフォルニアの映画脚本家(その多くは大手映画スタジオやテレビスタジオで働いている)が加盟する労働組合のスタンスとしては予想外の意見だ。
著作権侵害への懸念を繰り返すのではなく、脚本家らは、公衆により多くの選択肢を提供することは重要なことであるとし、この提案が消費者とコンテンツクリエイターの双方に利益をもたらすものだと期待しているという。
「海賊行為への懸念がこの議論において湧き上がっているが、西部脚本家組合が入念に分析を行った結果、委員会のルールは競争を促し、コンテンツを守ることになることがわかった」という。
組合は、この提案されたルールが、競争の促進とコンテンツの保護とを公平に解決するものであるという。競争を促進することに寄って、利用可能性は促進され、より安価な選択肢が登場することで、海賊行為は実質的になくなるだろう。
「新しいテクノロジーはある種のビジネスの不確実性を生み出す可能性があるが、適法なコンテンツをより視聴者にアクセシブルにする消費者志向の発展が、消費者とコンテンツクリエイターの双方に利益をもたらす強い証拠がある」と脚本家組合は記している。
「現在の有料TVセットトップボックス市場は、消費者に高額な使用料を課し、コンテンツの競争を制限する権限を持つディストリビューターによってコントロールされている」
西部全米脚本家組合は、多くの権利者が持つ海賊行為への懸念が大げさであるとも指摘する。「オープンなインターネット」においても海賊行為が可能であるが、その氾濫によってイノベーティブな適法サービスが止まることはない、と彼らは言う。
「競争的なナビゲーションデバイス市場は、オープンなインターネット以上に海賊行為のリスクをもたらすものではない。オープンなインターネットにおいても、適法なビデオストリーミング市場は利益を上げ、インターネットトラフィックを専有している」
この新しいFCCルールは、オープンなインターネットがそうであったように、イノベーションを後押しするだろう。その結果、消費者は幅広いエンターテイメントに適正な価格でアクセスできるようになり、それが翻って産業の全体の利益になる、西部全米脚本家組合は考えている。
「オープンなインターネットにおいて、我々はより競争的な環境における可能性を目にし始めている。提案された競争的ナビゲーションデバイス市場に向けたルールは、消費者に多くの選択肢を与え、さらには競争的なコンテンツ市場を拓くために、論理的かつ必然的なステップなのである」と脚本家組合は結論づけている。
“Hollywood Writers: Set-top Box Piracy Fears Are Overblown – TorrentFreak”
Publication Date: May 24, 2016
Translation: heatwave_p2p
Header Image: Pablo García Saldaña