以下の文章は、Walled Cultureの「Open access is taking over, but academic institutions are paying as much money as ever: what happened?」という記事を翻訳したものである。

Walled Culture

ありがたいことに、購読を必要とせず誰もが学術論文を閲覧できるオープンアクセスが主流になりつつあります。しかし残念なことに、学術出版社はその前進を阻むことに成功しつつあり、オープンアクセスの勝利は空虚なものになろうとしています。このことは、国際研究者グループによる新たなプレプリントでも確認されています。

2010年代始めから、査読付きジャーナル論文の半数以上が、いわゆる寡占状態にある学術出版社から出版されている (Larivière et al., 2015)。この寡占は一握りの営利企業から構成されており、デジタル時代の到来以降、小規模出版社の買収を繰り返し、学術出版界の大部分を支配している。当初は(雑誌の危機[Serials crisis]や図書館が支払えないほどの購読料の高騰を引き起こしている)購読モデルに重点を置いていた大手学術出版社も、現在ではオープンアクセス(OA)を受け入れている。ペイウォールの撤廃は学術文献へのアクセスを提供する上で正しい方向に進む一歩ではあるものの、寡占企業のOAへのアプローチは一般に著者支払いモデル、つまり著者から論文掲載料(APC)を徴収するものであり、多くの人々を学術出版から排除する既存の不公平を助長するものとなっている。

学術出版社は購読料という読者負担のモデルから、論文掲載料という研究機関負担のモデルへと移行する戦略を採っています。オープンアクセスにより誰もが論文を読めるようになることは喜ばしいのですが、このプレプリントは、オープンアクセスへの移行が、研究機関の金銭的負担の問題を解決していないことを証明しています。論文の著者は、「寡占企業」(学術出版市場全体ではない)にどれだけのお金が流入しているかについて、興味深い数字を提示しています。

我々は、分析対象の4年間に、全世界の著者が寡占学術出版社に支払った論文掲載料を10億6000万ドルと推定している。分析した505,903本のOA論文のうち、60.9%がゴールドのOAジャーナルで、8.6%がダイヤモンド(論文掲載料のないゴールド)、30.5%がハイブリッドジャーナルで出版されている。

ゴールドOAとは、論文掲載料を支払うことで出版時にすべての論文が出版社のウェブサイトで無料で閲覧できるタイトルを指しています。以前、このWalled Cultureで取り上げたダイヤモンドOAは、論文購読料がゼロのゴールドOAと考えることもできます。ハイブリッドジャーナルも、出版社の巧妙な手口といえます。APCが支払われた論文も含まれていますが、ほかの資料にアクセスしようとすると購読が必要になります。事実上、出版社は二重取りしているのです。このようなやり方は、オープンアクセスを機能させるやり方ではないはずなのですが……。

Open access is taking over, but academic institutions are paying as much money as ever: what happened? – Walled Culture

Author: Glyn Moody / Walled Culture (CC BY 4.0)
Publication Date: September 22, 2022
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: Florian Klauer