以下の文章は、Walled Cultureの「Educational publisher Pearson finds a way to make NFTs even worse」という記事を翻訳したものである。

Walled Culture

今年4月、このWalled Cultureで、非代替性トークン(NFT)はその誇大宣伝とは裏腹に、クリエイターにほとんど利益をもたらさないことを説明しました。その後、NFTと暗号通貨が詐欺やマルチ商法に過ぎないことがますます露呈し、この一大流行も沈静化しつつあります。しかし、このままNFTが衰退していくのかと思いきや、教育出版社のピアソンが新たなNFTスキームを考案しています。Yahooが報じているところによると、学生の生活を少しばかり苦しくするように設計されているようです。

FTSE100の教育出版社ピアソンが、古書市場から分け前を得ようと、学校や大学の教科書を非代替性トークン(NFT)化する計画を立てている。

アンディ・バードCEOは、ブロックチェーン技術によってピアソンがデジタル書籍に固有の追跡コードを埋め込むことができ、学生や大学による中古販売の一部を同社が得られるようになるという。

これはいくつかの醜悪さをはらんでいます。第一に、電子書籍を購入しても所有したことにはならないという考え方です。もし所有しているのなら、自由に売ることもできますし、売って得られたお金も手元に残るはずです。一般に、デジタル教科書にはデジタル著作権管理(DRM)がかけられているため、学生がオリジナルを残しつつコピーを売るなどということはそもそも起こりえません。しかしピアソンはDRMという足かせだけでは満足せず、すでに電子書籍の代金をきちんと支払っているにも関わらず、中古販売からも分け前をかすめ取ろうと考えているのです。

あなたが購入した電子書籍を追跡する権利があるというピアソンの考え方も実に醜悪です。あなたが自社製品を使って何をしているかをオプトアウトの選択肢すら与えることなく監視してよいという、企業にとって都合の良いシナリオを強化するものにほかなりません。とりわけ、「教育」出版社であるPearsonが、不可避の監視を完全に当たり前のものとして学生に教えている姿勢も非難に値します。

最後に、企業がNFTのような欠陥技術に飛びつき、「学業に不可欠でありながら、すでに法外に高額で、学生が購入に苦労している市場から、さらにお金を搾り取るために技術を利用しよう」とする姿は、あまりに悲しいものがあります。NFTを悪意ある振る舞いを引き起こすものと見なすべき理由、NFTを導入する企業を避けるべき理由がまた1つ増えたように感じます。

Educational publisher Pearson finds a way to make NFTs even worse – Walled Culture

Author: Glyn Moody / Walled Culture (CC BY 4.0)
Publication Date: September 1, 2022
Translation: heatwave_p2p
Header image: Volker Neumann (CC BY-NC-SA 2.0)

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