以下の文章は、Walled Cultureの「A concept that should not exist at all is already implemented: the “paying” public domain」という記事を翻訳したものである。

Walled Culture

先日、パブリックドメイン作品の利用に課税するというフランスのとんでもないアイデアについてお伝えしました。その記事でも説明したように、こうした考えはパブリックドメインの意味を覆し、著作権の暗黙の了解を裏切るものでもあります。幸いなことに、この提案には強い反発が集まり、撤回されることになりました。

ですが、今回は幸運だっただけで、油断しているとすぐにでもこのアイデアは復活すると考えています。なぜなら、こうしたアイデアはすでにさまざまな国で具体化しているからです。たとえばホルヘ・ジェメットは、ウルグアイとアルゼンチンには何年も前から「有料」パブリックドメインという概念が存在することをTwitterで指摘しています。彼がリンクしたマキシミリアーノ・マルツェッティの記事でも、他にもこうした著作権の倒錯に悩まされている国を挙げられています。アルジェリア、ケニア、ルワンダ、セネガル、コンゴ共和国、コートジボワール、パラグアイです。マルツェッティは、「有料」パブリックドメインというアイデアをさらに掘り下げたWIPOの2010年の報告書にも言及しています。

ガーディアン紙の最近に記事では、イタリアでもこうしたひどいアプローチが取られていて、公有財産の美術品をグッズ販売に使用する場合は、許可と使用料が必要なのだそうです。仏ファッションブランドのジャン=ポール・ゴルチエも犠牲になり、そもそも著作権の対象になったことすらない数百年前からパブリックドメインの作品を「不正コピー」したと主張されています。

ボッティチェリのルネサンス期の最高傑作『ヴィーナスの誕生』の画像を、同社がTシャツ、レギンス、ボディスなどの衣料品に無断で使用したとして、イタリアのウフィツィ美術館が、10万ユーロ(約88000ポンド)を超える損害賠償を求めて提訴している。

この記事では、ウフィツィ美術館が自らグッズを販売していることが説明され、例のごとく金の話なのだと述べられています。たとえ偉大な美術館や博物館を運営する人たちでさえも、独占権という誘惑に駆られ、このような残念な行動をしてしまうのです。本当のパブリックドメインは、原則的にそれ自体のために守られなければならないという考え方は、彼らの頭にはないのでしょう。

Image created with Stable Diffusion.

Follow me @glynmoody on Twitter, or Mastodon.

A concept that should not exist at all is already implemented: the “paying” public domain – Walled Culture

Author: Glyn Moody / Walled Culture (CC BY 4.0)
Publication Date: October 20, 2022
Translation: heatwave_p2p