以下の文章は、電子フロンティア財団の「US Copyright Term Extensions Have Stopped, But the Public Domain Still Faces Threats」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

我々は、著作権政策の指針となるべき重要な原則を指示する行動・議論のための「著作権ウィーク」に参加している。今週は連日、さまざまなグループは著作権法や著作権政策のさまざまな課題を取り上げ、何が問題となっているのか、そして著作権がクリエイティビティとイノベーションの促進のためにどのような役割を果たすべきかを取り上げる。

毎年1月1日は、著作権保護期間が切れて自由に利用・翻案できるようになった創作物を祝う日である。今年は、SF映画の金字塔『メトロポリス』や、初のアカデミー賞受賞作品『つばさ』、児童文学の古典『おやすみなさい おつきさま』、アーサー・コナン・ドイルの最後のシャーロック・ホームズ作品などがその対象となる。これら著名な作品に加え、1927年以前の無数の文化財が、たとえコピーが見つかったとしても、巨額の賠償金を負わされる心配をせずに、アーティスト、教育者、企業によって使用できるようになった。

21世紀の大半の間、これら作品には法的な鍵がかけられ続けていた。1998年に米国議会が可決した20年間のソニー・ボノ著作権期間延長法によって、その後2019年まで著作権保護期間が満了する作品は一つもなくなったからだ。その代償はめまいを起こすほどだった。研究者は、無声時代の映画の75%が失われたと推定している。

1998年の延長は、数十年に渡る著作権保護期間延長の締めくくりであり、最終的に米国の著作権は世界的に見ても最長レベルとなった。今後20年間に、白雪姫、バンビ、ファンタジアといったディズニー初期の有名作品など多数の重要作品がパブリックドメインになるにもかからわず、大手メディアやエンターテイメント企業は再度の保護期間延長を求めてはおらず、今後もその可能性は低そうだ。

なぜ米国の著作権保護期間は、その執拗な膨張を止めたのか。あらゆる分野の人々が立ち上がり、「もうたくさんだ!」と声を上げたからだ。インターネットは、誰もが写真、ビデオ、音楽、文章などの創造的作品のクリエイターでありユーザであることを可能にした。インターネットユーザは、著作権保護期間を延長しても、公共の対話を貧しいものにするだけで、ほとんど誰の利益にもならないことを理解しているのである。そして過去10年にわたり、皆さんはその声を聞き入れ、米国の政治家たちにさらなる保護期間延長の有害さを理解させたのだ。

だが、パブリックドメインは今も脅威にさらされている。カナダは独自に保護期間の20年間の延長を制定する構えを見せている。また、ディズニーのような強力な法的リソースを持つ権利者たちは、商標法を、かつて最高裁が「ミュータント著作権の種」と呼んだものに拡張し、古いキャラクターや書籍、映画を元に制作される作品を排除しようとすることも予想される。

著作権保護期間はあまりにも長過ぎる。第二次世界大戦時代のドキュメンタリーを制作するフィルムメーカーが、米国レコード協会などの音楽団体からの「とてつもなく複雑な」ライセンス手続きに煩わされることなく、あるいは著作権訴訟で予測不能かつ莫大な法定賠償金のリスクを負うことなく、その時代の音楽録音物を使用できるようになるまでには、あと20年近くはかかるのだ。

長期間かつ複雑怪奇な著作権の保護期間は、文化を守るどころか、我々を歴史から遠ざけてしまう。それは著作権が本来意図していたものであるはずがない。

US Copyright Term Extensions Have Stopped, But the Public Domain Still Faces Threats | Electronic Frontier Foundation

Author: Mitch Stoltz / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: January 16, 2023
Translation: heatwave_p2p