以下の文章は、Walled Cultureの「The copyright world is already panicking about music created using generative AI; too late」という記事を翻訳したものである。

Walled Culture

Walled Cultureでは数週間前、ビジュアルアートの世界におけるジェネレーティブAIの急速な台頭と進化についてお伝えしました。その中で、AIプログラムがほぼゼロコストで、どんなトピックでも、どんなスタイルでも、無限にイメージを生み出せる世界では、著作権が意味をなさなくなり、こうした動きはビジュアルアートだけでなく、たとえば音楽の世界でもすぐに現れてくるだろうとお伝えしました。

著作権の世界がすでにその可能性に怯え、パニックに陥っているという興味深い記事がTorrentFreakに掲載されています。記事によると、全米レコード協会(RIAA)は最近、「悪名高い市場」リストを米国政府に提出したそうです。RIAAが米国通商代表部に対処してほしいと思っているものを伝えるのは毎年のことなのですが、今年はここに新たなカテゴリが追加されていました。

人工知能(AI)を使って、選択された著名レコーディングアーティストの参照トラックに非常に類似した、またはほぼ同等のレコーディングを生成、マスタリング、またはリミックスするオンラインサービス。

RIAAはさらに続けます。

これらサービス、またはそのパートナーが、RIAA会員の楽曲を使用してAIモデルを訓練しているのであれば、それは無許諾使用であり、会員の著作物を無断複製することによって会員の権利を侵害する。

いずれにせよ、これらサービスが流布するファイルは、RIAA会員の楽曲の無断コピーないし無許可の二次的著作物である。

この文脈で言及されているサービスのひとつ、Songmastrは、別のTorrentFreakの記事で伝えられている批判について、「非難されているようなことはしていない」と反論しています。しかし、さまざまなスタイルの音楽を作り出すことができるジェネレーティブAIプログラムがすでに存在しているのですから、こうしたサービスが提起する問題を考える価値はあるはずです。

著作権の世界にとっての中心的な懸念は、誰かが特権に使用料を払わずに音楽から「二次的著作物」を創れるようになるという点です。音楽は何千年も前からそのように作られてきたはずなのですが、RIAAがそれを理解していないのはとても悲しいことです。若い音楽家たちは、前の世代の音楽を聞き、歌い、演奏し、学ぶことで、自分たちの音楽を作り出していきます。そうやって音楽家は、創作を単純なコピーではなく、独自のものにしていくのです。

著作権者が次世代の音楽に何らかの所有権を持つべきだという考えは、まったくもって見当違いですし、ひどく悪質な考えです。そのような考えは、創造性を一人の人間に、もっとひどい場合は一企業に所有させるべきだという腐敗した考えにまで拡張し、何らかの形で影響を受けた芸術作品への支配権を主張しようとするものです。このことは、著作権が芸術と創造性の双方にどれほど敵対的であるかを象徴しています。

The copyright world is already panicking about music created using generative AI; too late – Walled Culture

Author: Glyn Moody / Walled Culture (CC BY 4.0)
Publication Date: November 3, 2022
Translation: heatwave_p2p

カテゴリー: Copyright