米国インターネット・サービス・プロバイダRCNが、音楽事業会社のBMGに対して訴訟を起こした。RCNは加入者の著作権侵害行為について、同社に責任がないことの確認を法廷に求めている。RCNはとりわけ、BMGの海賊版対策パートナー会社Rightscoopから送られてくる通知には不備があると訴えている。
米国内に40万人の加入者を抱えるRCNは、米国大手のインターネット・サービス・プロバイダである。
他のISP同様、RCNは近年大量に送られてくる著作権侵害通知に悩まされている。Rightscoopはそうした通知を大量に送りつける事業者であり、BMGなどのクライアントに代わってDMCA通知を提出している。
こうした通知は、攻撃的なトーンで和解を要求することが多く、多く問題をはらんでいる。
さらに、Rightscoopとそのクライアントは、ISPは加入者の著作権侵害行為に対し適切な措置を講じなかった場合、ISPに著作権侵害の責任が生じると主張する。つまり、著作権侵害を繰り返す加入者を切断せよ、ということを求めている。
RCNはこうした主張を受け入れるわけもにいかず、今週、音楽事業会社BMGを相手取り、ニューヨーク連邦裁判所に確認判決を求める裁判を起こした。
「本裁判における中心的な争点は、インターネット・サービス・プロバイダは、客にインターネット接続を提供しているという理由のみで著作権侵害の責任を追うのかどうかである」とRCNは記している。
RCNによれば、BMGとそのアンチパイラシーパートナーは、彼らが指摘するRCN加入者の侵害行為に対して金銭を要求しているという。その過程で、彼らはRCNのメールサーバに通知の爆撃を行っていると主張している。
「BMGおよびRightscoopは、彼らが指摘する加入者の著作権侵害について、RCNに不当に支払いを要求し、彼らが主張する権利を行使する意図を明示的に表明している」とRCNは述べる。
「BMGはその主張の根拠として、RightscoopがRCN加入者の著作権侵害について数百万通ものメールでRCNに通知しており、RCNが侵害行為を把握していると主張する」
RCNによると、通知は非常に膨大な数におよび、特異性を欠いており、その主張を調査することは不可能だという。さらにRCNは、Rightscoopの監視技術は複数の点で不備があると指摘する。
Rightscoopは、著作権を侵害されていると主張する著作物の全体ではなく、一部分が共有されているかどうかの確認しかしていないという。さらにRCNは、ISPは単にトラフィックを通過させているだけであり、加入者の侵害行為に責任を負わないと主張する。この点については、DMCAセーフハーバー条項においてRCNは保護されているという。
RCNは法廷にこの問題を評価し、さらなる確実性を提供する確認判決を求めている。
「RCNが著作権侵害の責任を負うとするBMGの度重なる主張は、根拠を欠いている。したがってRCNは、本法廷に著作権侵害についてBMGに責任を負わないとする判決を求める」とRCNは述べている。
ISPの責任の有無をめぐる訴訟はこれが初めてではない。
昨年行われた同様の裁判では、ISPのCox Communicationsが加入者の著作権侵害に責任を負うとされた。この訴訟では、ヴァージニア連邦裁判所はCoxに対し、BMGに2500万ドルの損害賠償を支払うよう命じた。
その影響や範囲を考えれば、全米のISPや著作権者がこの裁判の行方を固唾を呑んで見守っているのかもれない。
RCNの申し立て全文はこちらから(PDF)。
“U.S. ISP Sues Music Group Over Piracy Allegations – TorrentFreak”
Publication Date: June 15, 2016
Translation: heatwave_p2p