以下の文章は、電子フロンティア財団の「2022 Year in Review」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

EFFは、我々の権利がオンラインで守られることだけでなく、新たなテクノロジーによって我々の権利が強化される未来を創造できると信じている。EFFスタッフの活動家、弁護士、技術者たちは、より良い未来のために、あるいはSF小説で描かれるようなディストピアに立ち向かうために戦っている。法廷で、立法府で、そして企業のオフィスで、我々は常にユーザのニーズに耳を傾けてきた。時に書簡を送り、時に飛行機を飛ばした

今年、我々は懸命に取り組み、様々な戦いに勝利してきた。たとえ勝ち目のない戦いであろうと、我々は戦い続ける。たとえ道のりが長く険しくとも、正しいことのために立ち上がらなければならないからだ。

2022年、我々は保育所で使われているアプリを調査した。預かっている子どもたちの情報を収集し、保護者と共有するアプリだ。その結果、アプリが危険なほどインセキュアなだけでなく、保育アプリ業界全体がユーザの安全に無頓着であることがわかった。そこで我々は、保護者が懸念を正しく理解できるような情報提供や、子どものセンシティブな情報を適切に管理するための多要素認証機能の導入など、保育アプリに関する基本的な推奨事項を提示した。

我々は今年、セキュリティの分野で勝利を収めた。何年にも渡る圧力の末、Appleは我々が長年要求してきたクラウドバックアップの暗号化をついに実装した。さらにAppleは、あなたのスマートフォンをスキャンするという危険な計画の中止と発表した。

警察による監視とも戦ってきた。サンフランシスコ警察がBlack Lives Mattersのデモの際に監視カメラに違法にアクセスしたことをめぐるACLUとの訴訟(Williams v. San Francisco)は現在も控訴審で争われている。この訴訟後にも、サンフランシスコ警察は、警察が第三者のカメラに不当にアクセスできるよう、繰り返し条例を改正しようとしてきた。ロンドン・ブリード市長は、警察にさらに強力権限を与える案を提出し、その後撤回した。サンフランシスコ管理委員会(訳注:市議会に該当)は結局、同様の条例を可決したが、その効力を15ヶ月間に限定することには成功した。だが、戦いは終わっていない。この期限を越えて、抗議活動を始めとする憲法修正第1条で保護された活動を排除しようとする大規模監視の継続を望む声が再び上がるだろう。我々は今後も戦い続けていく。

監視カメラでは後退させられたが、そのサンフランシスコで劇的な逆転勝利がもたらされた。管理委員会はわずか1週間のうちに、サンフランシスコ警察に殺人ロボットを配備する権限を与えるという立場を翻したのだ(サンフランシスコ警察は、我々が「殺人ロボット」と表現することに反対していることを知っていただきたい。彼らは、ロボットが自ら行動したり、銃を持っているわけではないという。だが、ロボットは爆弾を抱え、爆発するのである。我々はこのフレーミングを続けていく)。この歴史的な逆転は、活動家たちの後押しなしにはなし得なかっただろう。そしてもちろん、ベイエリアの多数の市民が声を上げ、善きトラブル(good trouble)を起こしたことに感謝したい。

我々はInternet Archiveの代理人として、図書館が利用者に提供するサービスをコントロールしようとする4大出版社にも立ち向かった。これら出版社は、高額かつ制限的な電子書籍ライセンスで図書館を囲い込もうとする一方で、Internet ArchiveのControlled Digital Lending (CDL) プログラムがビジネスの脅威であると根拠もなく主張している。図書館は万人に知識を与えてくれる場である。EFFは図書館の側に立つ。

欧州連合では、強力にロビー活動を展開し、相互運用性の価値を認め、「ゲートキーパー」プラットフォームの支配力を意味あるかたちで抑制するデジタル市場法を後押しした。

最後に、EFFとその同盟、そしてあなたの持続的な圧力によって、議会によるフィルタリングの義務づけやリンク税を阻み、オンラインでの表現の自由を守ることができた。また今年、議会が「セーフ・コネクション法」を可決したことも良かった。ドメスティック・バイオレンスの被害者がファミリープランから抜けても電話番号を使い続けられるようにするために、EFFはこの法律を成立させるよう働きかけてきた。このシンプルな保護は、加害者が電話プランへのアクセスを悪用して被害者を追跡したり嫌がらせするのを防ぐ意味でも不可欠なものだ。

年が明けるまでに、我々の今年の取り組みをブログ記事で紹介するのはちょっと無理かもしれない。我々はたくさんの取り組みを行ってきたが、そのどれもが、我々のメンバー、支援者、そしてよりよい未来を気づくために立ち上がり、行動を起こしてくれたあなた方なしには実現し得なかった。

EFFでは毎年恒例で、今年達成したこと、学んだこと、これからやるべきことをブログに綴っている。このページでは、2022年のデジタルライルに関する新しいストーリーを今日から新年にかけて毎日更新していく予定だ。

2022 Year in Review | Electronic Frontier Foundation

Author: Cindy Cohn / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: December 22, 2022
Translation: heatwave_p2p