以下の文章は、Access Nowに掲載された「Joint Statement: Saudi Arabia must free detainees jailed for their online expression ahead of Internet Governance Forum」という共同声明を翻訳したものである。
サウジアラビアは、2024年12月15日から19日にかけてリヤドで国連インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)を開催するにあたり、オンライン上の表現を理由に恣意的に拘束されているすべての個人を解放しなければならない。サウジアラビアにおけるIGFの開催は、IGFの掲げる価値観に反する。2024年、IGFはデジタル時代における人権と包摂性の推進に焦点を当てたテーマを採択したが、サウジアラビアはソーシャルメディア上で自己表現をする人々を訴追し、投獄し、強制失踪させ、脅迫して沈黙させ続けている。
これから100日足らずのうちに、サウジアラビアはインターネット・ガバナンスの未来を形成する重要な対話を主導する。その一方で、同国は批判的な見解をオンラインで表明したという理由だけで、自国民に過去に例のない弾圧と数十年に及ぶ長期刑を科している。
この弾圧を象徴する最も顕著な事例の一つが、サウジアラビア人の医師でWikipedia管理者のオサマ・ハリドのケースである。ハリドは、出典に裏付けられた知識をWikipedia上で自由に利用できるようにするために尽力していた。我々の組織が入手した情報によると、ハリドは現在、「世論扇動」および「公序良俗に反する行為」という捏造された罪状で32年の禁錮刑に服している。彼は2020年夏、サウジアラビアの別のWikipedia管理者であるジアード・アル=スフヤニとともに逮捕された。
同様に、2024年1月9日、サウジアラビアの悪名高いテロ裁判所である特別刑事裁判所(SCC)は、オンライン上で女性の権利向上を訴えたとして、30歳のフィットネスインストラクターで女性の権利活動家であるマナヘル・アル・オタイビに11年の実刑判決を言い渡した。彼女の有罪判決は、適正手続き違反だらけの秘密裁判の末に下された。SCCは、女性の権利を支持するツイートや、アバーヤ(ゆったりとした伝統的な長袖のローブ)を着用せずにショッピングモールにいる自身の写真をSnapchatに投稿したことを理由に、「テロ行為」の罪で有罪としたのである。彼女に対する判決は、サウジアラビアがIGFの開催国に確定してからわずか3か月後に下された。
35歳の博士課程の学生で2人の幼い子どもの母親であるサルマ・アル・シェハブは、女性の権利を支持するソーシャルメディアへの投稿を理由に、2021年から不当に長期の禁錮刑に服している。2023年1月25日、SCCの控訴審は、著しく不公正な裁判の末、テロ関連の罪状で言い渡された34年の禁錮刑を27年に減刑したが、出所後の27年間の出国禁止処分も撤回されなかった。
41歳の赤新月社職員アブドゥルラフマン・アル・サダンは、2018年3月に拘束され、現在強制失踪の状態にある。2020年4月、SCCは、風刺的なツイートとしたというだけで、彼を脅迫して「自白」引き出し、それに基づく不当な裁判の末、20年の禁錮刑と20年間の出国禁止を言い渡した。
2023年7月、SCCは55歳の元教師モハンマド・ビン・ナーセル・アルガムディに対し、X(旧Twitter)でサウジ当局を批判したこと、そしてYouTubeでのオンライン活動を理由に死刑を言い渡した。彼の2つの匿名Xアカウントのフォロワー数は、2つあわせてわずか10人だった。彼の死刑判決は、表現の自由を弾圧するためにサウジアラビア当局が死刑を適用する傾向が強まっていることを示すものとなった。
これらの事例は、サウジ当局による表現の自由に対する恐るべき弾圧を象徴するものであるが、決してまれな事例ではない。サウジアラビアでは、同国への訪問者を含む数十人が、オンライン上の表現のみを理由に拘束されている。その結果、通常であればIGFに参加するはずの多くの市民社会組織や活動家たちが、安全かつ自由に会議に参加できないことを懸念し、サウジアラビアへの渡航を断念している。
サウジ当局は、オサマ・ハリド、ジアード・アル・スフヤニ、マナヘル・アル・オタイビ、アブドゥルラフマン・アル・サダン、サルマ・アル・シェハブ、モハメド・ビン・ナセル・アル・ガムディ、そしてオンライン上の表現を理由に不当に投獄されているすべての人々を、ただちに無条件で解放しなければならない。これは、インターネットガバナンス改革の推進者となるという彼らの真剣さを示す重要な第一歩である。
すべてのIGF参加者——国家、国際組織、個人——もまた、オンライン上の表現を理由に不当に拘束されている人々の自由を要求すべきである。さもなければ、彼らのIGF参加が、オンライン上のあらゆる批判を沈黙させようとするサウジ政府の人権侵害を隠蔽するウォッシングに利用されることになるだろう。
署名
- Access Now
- Amnesty International
- ARTICLE19
- ALQST for Human Rights
- Center for Democracy and Human Rights in Saudi Arabia, CDHR
- Centre for Social Change (University of Johannesburg)
- DAWN
- Digital Action
- Electronic Frontier Foundation
- Equidem
- ESOHR
- FairSquare
- Femena
- Freedom Forward
- Freedom House
- Fundación Karisma
- Global Forum for Media Development (GFMD)
- Global Network Initiative
- Gulf Centre for Human Rights (GCHR)
- Human Rights Sentinel
- Human Rights Watch
- Internet Freedom Foundation
- Index on Censorship
- International Federation for Human Rights
- International Service for Human Rights (ISHR)
- MENA Rights Group
- Middle East Democracy Center
- Muwatin Media Network
- Myanmar Centre for Responsible Business
- No Peace Without Justice
- PEN America
- RootsAction Education Fund
- SMEX
- Tech Global Institute
- The Tor Project
- Rinascimento Green
- South Durban Community Environmental Alliance, Durban, South Africa
- ReThinking Foreign Policy
- Urgent Action Fund for Feminist Activism
- Western New York Peace Center
Publication Date: September 6, 2024
Translation: heatwave_p2p