以下の文章は、EDRiの「12 civil society organisations tell delivery platforms it’s time to deliver answers on how they use algorithms to manage their workers」という記事を翻訳したものである。

EDRiメンバーのPrivacy Internationalと複数のデジタルライツ団体が労働組合と連携し、フードデリバリープラットフォームによる労働者のアルゴリズム管理に異議を唱えている。12団体が共同署名したオープンレターでは、プラットフォーム改善のための3つの明確な提言を行っている。
ギグエコノミープラットフォームの労働者の生活を左右するアルゴリズム管理
デジタルライツ団体と労働組合が連携し、フードデリバリープラットフォームに対して労働者を管理するアルゴリズムの公開登録の維持を求めるオープンレターを発表した。この取り組みでは、アルゴリズムによる判断に個別の説明を付け、労働者やその代表者、公益団体がアルゴリズムの仕組みを検証できる環境の整備を要求している。
労働者のアルゴリズム管理は、今やギグエコノミープラットフォームでは常態化している。報酬額、割り当てられる仕事、さらにはアカウント(つまり雇用)の停止まで、アルゴリズムの判断で決まってしまう。しかし労働者は、これらのアルゴリズムの仕組みや意思決定プロセスについて、ほとんど情報を与えられないままだ。ルールを知らされないままゲームをプレイすることを強いられているのである。
フードデリバリープラットフォームは説明責任を果たせ
そこで12の団体はフードデリバリープラットフォームに対して明確に主張する:回答を届ける時が来た。彼らはDeliveroo、Just Eat、Uber Eatsに3つの明確な提言の実施を求めている:
- ドライバーとライダーに雇用条件の実質的な理解を提供すること。
- ドライバーとライダーが自分に影響を与える判断を理解し、異議申し立てできる手段を提供すること。
- ドライバーとライダーが彼らに適用されるアルゴリズムに内在する問題を発見できる仕組みを提供すること。
これらの団体は、どのように管理されているのか、何に注意すべきか、どうすれば良い結果が得られるのかという基本的な情報を提供することは、決して無理な要求ではないと主張している。しかし近年、これらのプラットフォームによる深刻な権力の乱用が見られ、労働者は家族を養うために頼りにしている仕事について、情報を与えられないまま取り残されてきた。
2024年にUberから和解金を得たドライバーのパーの事例では、彼は(おそらくID確認のために)[繰り返し写真提出を求められていた。勤務を終えたある夜、パーがアプリで収入を確認しようとしたところ、アカウントが無効化され、突然かつ予告なく仕事へのアクセスを失っていることを知った。Uberは彼が他人に自分のアカウントを使わせていたと主張したが、それは事実ではなかった。パーはUberが肌の色の濃い人々の顔認識に問題がある技術を使用していたためではないかと考えた。彼が望んだのは、自分が撮影した写真――明らかに同一人物のもの――を人間がレビューすることだけだった。しかしUberはそのような選択肢を彼に提供しなかった。
この件では、パーはUberを提訴し、和解金を勝ち取ることができた。しかし、彼と同じ立場にあるUberや他のプラットフォームのほとんどのドライバーにとって、このような救済を得ることは極めて困難、あるいは不可能に近い。
労働者の権利をめぐる底辺への競争はもう許されない
もしパーがUberで労働者管理に使われているアルゴリズムについて理解していれば、なぜそれほど多くの写真提出を求められたのか理解でき、この問題についてUberと話し合う機会もあっただろう。
またUberが判断の個別説明と、連絡先や再検討要求の方法を提供していれば、彼が目覚めてみたら収入源を失っていたという事態は避けられたかもしれない。
さらに、Uberが労働者やその代表者、公益団体にアルゴリズムの検証を許可していれば、パーが人種差別的だと考える顔認識システムにさらされることもなかっただろう。差別的な結果はより早く発見され、ドライバーたちは自分たちを管理するシステムが差別的でないと信頼できるようになる。
労働者の未来を支配するテクノロジーの説明責任と監視を求める
現状の透明性レベルでは、これらのプラットフォームのアルゴリズムは労働者の尊厳と自律性を侵害している。これらの提言を実施することは、労働者の未来を左右するテクノロジーに対する説明責任と適切な監視を確保するための重要な一歩となるだろう。
そのためPrivacy Internationalと他11団体は、これらのプラットフォームにアルゴリズムの使用方法や職場での自動意思決定のあり方を改善するよう求めている。このキャンペーンを共有し、これらのプラットフォームに #TimeToDeliverAnswers(回答を届ける時だ)と伝えることで、あなたもこの取り組みに参加できる。

寄稿: EDRiメンバー、Privacy International
How do delivery platforms use algorithms to manage workers? – European Digital Rights (EDRi)
Author: Privacy International / EDRi (CC BY-SA 4.0)
Publication Date: February 19, 2025
Translation: heatwave_p2p