著作権侵害を行ったとしてサービスプロバイダを脅迫する著作権トロールが、彼らの活動の原資である資産を奪われることになりそうだ。アダルト出版社のPerfect10は、UsenetプロバイダのGiganewsへの訴訟に敗北した後、数百万ドルの訴訟費用を支払うため、自らの知的財産権をGiganewsへ譲り渡すことになった。

成人向け雑誌のPerfect 10は、女性の画像を扱うサブスクリプション型のウェブサイトを運営していた。

しかしある時、Perfect 10は写真を消費者に売るよりも、企業を訴えたほうが金になると目論み、方向転換することにした。

Perfect 10の海賊版対策は年を経るごとに攻撃性を増し、同社の著作権を侵害したという理由で多数の企業を訴えていった。そのなかには、GoogleやAmazon、さらにはMasterCardやVisaまで訴えるに至った。もちろん、LeaseWebやOVHなどのホスティングサービスも含まれている。

Perfect 10の訴訟は必ずしも成功したわけではないが、手当たり次第に訴訟を起こしたことで、幾つかのケースでは和解金を受け取ることができた。やがて、Perfect 10は出版社として以上に、著作権トロールとして知られるようになった。そして2011年、Perfect 10はGiganewsを新たな標的に定めた。しかしその試みは壮大な失敗に終わる。

2014年11月、カリフォルニア中部地区連邦裁判所は、ユーザの行った著作権侵害にGiganewsは責任を負わないとする判決を下した。そして、Perfect 10はGiganewsに弁護士および裁判費用として560万ドルを支払うよう命じられた。

第9巡回区控訴裁判所もPerfect 10の主張を認めず、一審を支持。同社は再び敗訴し、倒産の危機に直面することになった。

現在、GiganewsとPerfect 10の立場は、皮肉なほどに逆転している。これまでPerfect 10がテクノロジー企業を脅すために使用してきた知的財産権は、Giganewsへの賠償金を支払うために、彼らの手を離れることになりそうだ。

「カリフォルニア州中部連邦地方裁判所がGiganewsの申し立てに基づき、Perfect 10のすべての知的財産権を差し押さえ、Giganewsを管財人として指名するとの判断を下したことを謹んでお知らせいたします」

この知的財産権には、Perfect 10の持つドメイン名、すべての著作権、すべての商標権が含まれる(がこれに限定されない)。 10年以上の長きに渡り、トロールじみた攻撃的訴訟を繰り返してきたことを考えると、Perfect 10にとって屈辱的な状況といえるだろう。当然の結末だと考える人もいるかもしれない。

Giganewsによれば、管財人としてこれら知的財産権の清算手続きに入るという。そのすべてが、2015年にカリフォルニア地裁が命じたGiganewsへの560万ドルの弁護費用の支払いにあてられることになる。

「本件で、私たちは勝利に次ぐ勝利を重ねてきました。すべての主張が認められ、弁護士費用の裁定も得ました。2017年1月には、第9巡回区控訴裁判所にて満場一致で勝利。この判決では、3人の連邦地裁判事がそれぞれGiganewsの主張を認めた判決を支持しています」

Perfect 10への勝利は極めて重要なものであるが、この出版社の資産が560万ドルに見合うものなのか、という疑問も残る。とはいえ、Giganews CEOで共同創立者のRonYokubaitisにとっては、トロールにとどめを刺すという意味で悪い結果ではないのだろう。

「私たちはPerfect 10が起こした卑怯かつ軽薄な訴訟から、彼らが支払うべき全額を徴収することが認められました」

「これはUsenetによって、そしてオープン・インターネット全体に渡るユーザ・プラットフォームにとっての大勝利です。この判決は今後、著作権トロールのビジネスに終焉をもたらし、根拠のない訴訟から開放してくれるでしょう」

Giganewsによれば、Perfect 10の知的財産権の購入に興味があれば、Fenwick & Westの担当弁護士に連絡を、とのこと。

Copyright Troll’s Intellectual Property Goes Up For Sale to Pay Giganews

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: March 8, 2017
Top Image: Andrew Basterfield / CC BY-SA 2.0
Translation: heatwave_p2p