複数の欧州議会議員が、新たなキャンペーンビデオを公開し、EUが提案する義務的なアップロードフィルタは表現の自由の深刻な脅威となりうると警告している。この新たなフィルタは「完全にバランスを欠いた」「検閲マシン」として機能するという。議員らは市民に「声を上げられるうちに」声を上げるよう訴えている。

欧州委員会は一連の新しい提案を通じて、EU著作権法の近代化に努めている。とりわけ、オンラインサービスには、著作権侵害対策のさらなる役割を担うよう求めている。

もちろん、こうした提案は議論を引き起こしている。たとえば、オンラインサービスに対し、アップロードされたコンテンツの監視、フィルタリングを義務づける著作権指令提案の第13条は、大きな批判を浴びている。

これが意味するところは、多数のユーザがアップロードしたコンテンツを扱うオンラインサービスが、著作権侵害ファイルをブロックするために、YouTubeのコンテンツIDのような電子指紋やその他の検出メカニズムを備えなくてはならないということだ。

欧州委員会は、著作権者を支援するために、より厳格なコントロールが必要だと考えている。しかし、多数の法学者デジタル活動家、一般市民が、正規のインターネットユーザの権利を侵害するのではないかと懸念している。

欧州議会からも強い反対の声があがっている。本日、党派を超えた6人の欧州議会議員が、ほかの議員や市民に警告を促すキャンペーンビデオを公開した。

議員らは、こうしたアップロードフィルタは「検閲マシン」として機能すると警告する。さらに彼らは、この提案を議論した欧州委員会のワーキンググループでこの懸念を明らかにしたはずだと指摘する。

「あなたが口を開くたび、大企業のコンピュータがあなたが言おうとすることを確認し、その口を塞ぐことができる力を持っている――そんな世界を想像してみてください」と欧州緑グループ・欧州自由連盟のジュリア・レダ議員はいう。

「新たな提案は、これを現実のものとします。あなた自身を表現したものであっても、ありとあらゆるビデオや写真が、インターネットにアップロードされる前に、自動化された『ロボコップ』にスクリーニングされることになります」と欧州自由民主同盟のマリエッチェ・スハーケ議員。

Stop censorship machines!

スハーケ議員は、アップロードフィルタがもたらす結末を、自分自身が経験したという。彼女がYouTubeに自身の政治演説の映像をアップロードすると、何の説明もなく削除されてしまったのだ。削除の理由は現在もわかっていない。

こうした広範なアップロードフィルタは、完全にバランスを欠いており、表現の自由に危機をもたらすと議員らは警告する。自動化されたシステムは間違いを引き起こし、たとえばフェアユースであるかどうかを適切に検出することはできない。

もう1つの問題は、この著作権侵害対策が中小規模の企業には負担が大きく、競争が阻害されてしまうということだ。欧州保守革新グループのダン・ダルトン議員は「これが可能なのは、最大手のプラットフォームだけです。欧州の競合プラットフォームや中小企業では、太刀打ちできなくなってしまうでしょう」という。

この計画はまだ阻止できる、と議員らは訴える。彼らは現在、3月末に法務委員会で投票を行うことになっており、ビデオでは市民に声を上げるよう促している。

「声を上げましょう……あなたの声が塞がれてしまう前に」と社会民主進歩同盟のキャサリン・スティラー議員は訴えている。
Planned Piracy Upload Filters are ‘Censorship Machines,’ MEPs Warn – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: January 22, 2018
Translation: heatwave_p2p