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数ヶ月に及ぶ交渉の末、カナダ、米国、メキシコは、新たな貿易協定の最終最終協定文に合意した。この新たな協定はNAFTAに代わるもので、さまざまな著作権関連の変更が加えられている。たとえば、カナダは著作権保護期間を20年間延長しなくてはならなくなる。また、同協定は、ユーザの著作権侵害に関してISPにセーフハーバーを提供する。

米国、カナダ、メキシコによる北米自由貿易協定の交渉が行われたのは、25年以上も前のことだ。

過去四半世紀、特にインターネットにおいて、貿易環境は劇的に変化した。その変化に対応すべく、この三カ国は国際貿易を近代化するための交渉を進めてきた。

数週間前、米国とメキシコは重要項目について合意に至った。そして昨晩、カナダが合意したことで、新NAFTAが誕生することになった。アメリカ合衆国・メキシコ・カナダ合意(USMCA)と名付けられたこの貿易協定は、著作権関連の項目を含め、さまざまな貿易問題を対象としている。

米国通商代表のロバート・ライトハイザー氏とカナダのクリスティア・フリーランド外務次官は「USMCAは、労働者、農家、畜産家および企業に、より自由な市場、より公正な貿易、堅実な経済成長をもたらす」と共同声明で述べている。

カナダにとって重要な変更項目の1つが、著作権保護期間の延長だ。現在カナダでは、著作物は著作者の死後50年間に渡って保護されることになっているが、これが最低でも死後70年間に延長される。

当初、カナダ政府はこの要求を拒否していたが、最終的には受け入れることになった。

死後70年

米国では、インターネットサービスはDMCAのセーフハーバー条項によって著作権侵害責任から保護されているが、メキシコとカナダではそうではない。

USMCAには、このセーフハーバー条項も盛り込まれている。このことは、インターネットサービスがユーザによる著作権侵害の直接責任を負わずに済むことを意味する。しかし、この保護には一定の義務が課せられる。

同協定では、著作権侵害が適切に対処されることを確実にするため、ISPがそれに取り組む法的インセンティブを与えなくてはならない、としている。

この枠組には、「インターネットサービスプロバイダが、著作権者と協力して、著作物の不正な蔵置および送信を阻止する法的インセンティブないし、著作物の不正な蔵置および送信を阻止する他の措置を講じること」が含まれる。

ISPがセーフハーバーの保護を受けたければ、米国で行われているように、海賊版コンテンツを迅速に削除し、侵害を繰り返すユーザに対処するポリシーを策定しなくてはならない。後者は、ISPが著作権侵害を繰り返すユーザの接続を遮断することを意味する。

合意書では、「著作権侵害を繰り返す者のアカウントを適切な環境において凍結するポリシーを採用し、合理的に実施すること」と規定されている。

侵害を繰り返すユーザ

現行の条文は非常に曖昧で、アカウントを凍結する「適切な環境」について定義されていない。これは米国にも当てはまるが、米国では複数の訴訟を経て、アカウント凍結ポリシーの適用範囲を厳しく制限している。

重要なポイントとして、著作権侵害コンテンツの削除と侵害を繰り返すアカウントの凍結に関するポリシーは、カナダには適用されない。合意の付帯書には、(通知および通知スキームを含め)署名時に別の各種条件が適用される場合、これらは適用されないと記載されている。

しかし、セーフハーバーがISPを保護することは明らかだ。また、EUのフィルタリング計画に関連して、「監視(monitoring)」や「著作権侵害行為を特定する事実を積極的に収集すること」を要件とはしないと明記している点も注目に値する。

本稿執筆時点では、協定が公開されてからまだ数時間しか経っておらず、今後、専門家の分析により更なる詳細が明らかになっていくだろう。

最終合意が交わされたものの、新たな協定が署名されたわけではない。つまり現時点では、現行のNAFTA協定がそのまま維持されていることを意味する。

‘NAFTA’ Replacement Extends Canada’s Copyright Term to Life +70 years – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: October 02, 2018
Translation: heatwave_p2p
Materials of Header Image: Prawny / DrRandomFactor (CC BY-SA 3.0)