カナダ政府の新たな法案は、ISPが加入者に転送を義務づけられている著作権侵害への警告に和解の要求を含めることの禁止が盛り込まれている。こうした手口は、同国の「ノーティス・アンド・ノーティス」制度を悪用したものとみなされており、著作権法学者や活動家、インターネットプロバイダから批判の声が上がっていた。
カナダは2015年の著作権法改正で、ISPに著作権侵害の通知を加入者に転送する義務を負うことになった。
この「ノーティス・アンド・ノーティス制度」により、数百万人のインターネット加入者のメールボックスに警告が届くことになっった。しかしその中には、金銭を要求するものも含まれていた。
いわゆる「ノーティス・アンド・ノーティス」システムは、同国の著作権侵害を抑止することを目的としている。それ自体は善意によるものであったのだが、一部の著作権者は、加入者を法的措置で脅し、和解を迫るための手段としてこのシステムを利用した。
こうした手口を積極的に取り入れているのが、Rightscorpだ。同社は米国でも同様の活動を行っているが、カナダでは強い反発に直面することになった。
先週、BellやRogersを始めとする大手インターネットプロバイダが、こうした和解を求める文言を排除したがっていることを我々は報じた。昨日公表された新たな著作権法改正案を見る限り、政府もその考えに同意しているようだ。
具体的な文言は、Bill C-86の予算執行の一部として以下のように記述されている。
著作権侵害を警告する通知には、以下のものを含んではならない。
(a) 侵害行為の和解に関する申し出
(b) 侵害行為に関連して金銭や個人情報の請求または要求すること
(c) 上記申し出、請求、要求へのリファレンス(ハイパーリンクを含む)
(d) その他、規則により制限されるすべての情報
この文言は、警告システムを利用したあらゆる和解の試みを防ぐものだ。これにより危険にさらされなくなる一般市民には朗報だが、カナダにおけるビジネスモデルを破壊されるRightscorpには面白くないだろう。
もちろん、権利者が裁判所を通じて加入者を特定することは以前と変わらず可能なままだ。
カナダの法学者、マイケル・ガイスト教授は、いささか時間がかかりすぎたとしつつも、この政府の提案を歓迎した。
「数年の時間を要したものの、政府はついに、警告通知システムを利用した和解要請を事実上禁止する要件を設けたことで、悪用を阻止しようとしている」とガイストは言う。
この改正案はまだ草案段階にあり、投票も施行もされていない。しかし、これまでに我々が目にしてきた市民の反応を考えれば、多くの議員がこの和解禁止措置に反対するとは考えにくい。
Canada Introduces Bill to Ban Piracy Settlement Notices – TorrentFreak
Publication Date: October 30, 2018
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: Theodor Kittelsen