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ミッキーマウスの影で身を潜めていたパブリックドメインが、ついに息を吹き返した。1月1日、多数の作品が自由に配布、実演、リミックスできるようになったのだ。1923年に公表されたすべての書籍、映画、楽譜などの作品が、現在パブリックドメインとなった。このポリシーの勝利は、パブリックドメインそれ自体と同様に、すべての人々に恩恵をもたらすだろう。

パブリックドメインはどのように使用できるのだろうか? まずは書籍そのものを保存し、再配布できる。あるいは、古典文学作品に、たとえばゾンビを登場させることもできる。脚本家の相続人からの訴訟を恐れることなく、脚本に忠実に、あるいはラディカルに変更して上演することだってできる。テクノロジーブログのTechdirtは、新たにパブリックドメイン入りした作品でゲームを制作するコンテストを開催している。パブリックメインの使用を制限する唯一のものは、人間の想像力の限界だけなのだ。

パブリックドメインの利点は、著名な作品をリミックスできることだけではない。著作権保護期間はきわめて複雑だ。パブリックドメインであるかどうかを判断するには、それが法人著作物であるかどうか、登録され更新されたものであるか、あるいは著作者がいつ死亡したのかを知らなくてはならない。アーキビストでさえ、多くの作品でこれらの質問に答えることはできていない。それゆえに、明確な終わりがあることが重要なのだ。それによって、歴史的遺産の保護者たちに確実性をもたらすことができる。

1790年、議会がはじめて可決した著作権法は、14年の保護期間と、更新によってさらに14年間延長できるというものであった。それ以来、議会は幾度も保護期間を延ばし続けてきた。1998年、ディズニーを始めとする企業は、大衆からの強い反発をうけることもなく、20年間の延長に勝ち取った。しかしそれ以降、著作権が公益にもたらす影響を危惧する人々は強く団結し、多くの情報を共有してきた。

2019年1月1日までに、著作権保護期間をさらに延長しようという動きは見られなかった。もちろん、更なる延長を望む人々はいなかったわけではない。だが、彼らはその主張が怒れる大衆の声に直面することを知っているのだろう。このパブリックドメインの静かな勝利は、かつてのSOPA/PIPAに対する苛烈な戦いの成果とも言えるかもしれない。

新たなパブリックドメイン作品の誕生を祝えるようにはなったが、いまだ長すぎる著作権保護期間は残されたままだ。私たちは孤児作品文化の喪失という双子の問題を抱えている。どこまでいっても、文化保護を犠牲にしてごく一握りの相続人だけを豊かにする保護期間はおかしいのだ。これ以上の保護期間延長に反対し続けると共に、保護期間の短縮についての真剣な議論も始めねばならない。

同時に、他の手段を用いた著作権保護の拡大も警戒すべきだ。利益を最優先にする企業は、商標を始めとするクリエイティブな法理を主張してくるかもしれない。幸い、最高裁はすでにパブリックドメインへのアクセスを阻害するために商標法を「ミュータント著作権法」として代用することは許されないとの判決を下している。しかし、この判決によって企業が諦めることはないだろう。何が起ころうとも、EFFはパブリックドメインを守るために戦い続ける。
The Public Domain Is Back, But It Still Needs Defenders | Electronic Frontier Foundation

Author: DANIEL NAZER (EFF)/ CC BY 3.0 US
Publication Date: JANUARY 16, 2019
Translation: heatwave_p2p
Materials of Header Image: Zachary Leven (CC BY-NC-SA 2.0) / toa267, modified by AnonMoos