以下の文章は、TorrentFreakの「Chinese Game of Thrones Pirates Unaffected By US ‘Trade War’」という記事の翻訳である。
先週日曜に放映された『ゲーム・オブ・スローンズ』最終話は世界中の人々を楽しませた。しかし、中国の公式チャンネルで視聴しようとした人々は突然の「放映延期」に失意のどん底に突き落とされることになった。この放映延期は米中貿易戦争の余波ではないかとも噂されているが、人々は政治の論理を回避すべく、ファイル共有サイトに集まっているようだ。
ゲーム・オブ・スローンズは2011年のスタート以降、史上最も話題となり、愛されたテレビ番組の1つになった。
8年間の歴史の中で幾度もエミー賞受賞した同作は、先週日曜にシーズン8・エピソード6(S08EP06)が放映され、その幕を閉じた。
多くの人々がこの重要なテレビイベントを楽しむ一方で、中国のファンたちは失意のどん底に突き落とされていた。2014年以降、中国国内でHBOシリーズのの独占配信権を取得していたプラットフォーム「Tencent Video」が、S08EO06の放映延期を発表したのだ(訳註:日本語関連記事)。
Tencentは「メディア伝送の問題」という不可解な理由により、同番組の放映延期を中国のスローンズファンに告げた。
しかし奇妙なことに、HBOはウォール・ストリート・ジャーナルに対し、Tencentへのコンテンツ配信には問題はなかったと話しており、同番組が米中貿易戦争の犠牲になったのではないかとの噂が広まっている。
TencentやHBOの言い分や主張とは無関係に、コンテンツはインターネットを駆け巡る。もちろん、政治的な混乱に左右されることもない。公式チャンネルが需要を満たせないのであれば、非公式な人々が代わりにその役割を果たそうとする。
放映延期の発表以降、TorrentFreakは中国の人気Torrentサイトや(まだまだ人気の)eD2kサイトに注目してきた。結論からいえば、ゲーム・オブ・スローンズの最終エピソードは中国国内でも容易に視聴できる、と言って差し支えない。
上記の画像をみると、uTorrentやBitCometなど、西側でもよく知られるトレントクライアントで入手可能なことがわかるが、中国のユーザたちの間では『Thunder』クライアントの人気が極めて高い。
Xunlei(迅雷)が所有するThunderは、世界で最も人気のトレントクライアントの1つである。以下に示すように、同シリーズの全エピソードのリンクは、『thunder』リンク(magnetリンクの変種)から簡単に入手できる。
もちろん、中国ユーザがS08EP06を手に入れようと西側のビデオソースを入手したとしても、多くの場合言語の壁が立ちはだかることになる。Tenentは中国語字幕をつけて公式配信しているが、海賊たちもAmazonソースのビデオに対応した独自翻訳によるSRTファイルを公開している。
最後に、フォーチュンの記事にあるように、今回の放映延期は、貿易戦争の余波だけでなく、表現上の問題もあったのではないかとの指摘もある。最終エピソードには民主主義的観点が含まれており、これが中国当局に問題視された結果、予定通り放映されなかったのではないか、というわけだ。
今回の放映延期がどのような理由によるものかは依然不明だが、これまでにもゲーム・オブ・スローンズの複数のエピソードが同国の検閲の対象となっている。
言うまでもなく、Tencentの「メディア伝送の問題」によって流通した海賊版の大半は、無修正のものということになる。中国政府や金盾でもコントロールしきれないこともあるのだろう。
Chinese Game of Thrones Pirates Unaffected By US ‘Trade War’ – TorrentFreak
Publication Date: May 25, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Theen Moy