英国知的財産局は、検索エンジンとソーシャルメディアが、著作権侵害の抑止にどのような役割を担えるのかについて調査を進めている。政府は大手のインターネット企業とエンターテイメント産業との自主的な取り決めを望んでいるが、もしそれがうまくいかなければ、法改正を行う用意があるようだ。
先週、英国知的財産局(IPO:Intellectual Property Office)は、今後4年間の著作権侵害対策計画を公表した。
政府はとりわけ、検索エンジンやソーシャルメディアプラットフォームに、著作権侵害コンテンツへのアクセスを抑制するよう協力を求めていた。
しかし新たな情報によると、この協力は必ずしもボランタリーなものではないようだ。
事実、政府は、GoogleやMicrosoft、Facebook、その他のテック企業の対策が不十分であった場合、海賊版防止法を強化することも視野に入れている。
The Timeが報じたところによると、IPOの事務官は、現行法において問題が含まれている箇所を閣僚に報告するため、既に調査を開始しているという。
IPOの著作権・エンフォースメント部ディレクターのロス・リンチは、テクノロジー企業全体としては、取り組みが不十分なところもあると話している。
「多くの企業が適切な手続きを行い、一定の措置を講じています。それが完全に効果的だとはいいません。一部には、なすべきことを十分に行っていない企業もあります」
この数ヶ月、英国政府は、テック企業とエンターテイメント産業を招いた会合を開いており、業界間の自主的な協定締結を後押ししている。しかし、いまのところ成果は上がっていない。
映画・音楽産業の主要ターゲットであるGoogleは、現在の削除システムが著作権侵害コンテンツへの対処として十分に有効かつ効率的であると主張している。
しかし、英国レコード産業団体BPIは、より予防的な著作権侵害対策を中間媒介業者に求めている。たとえば検索エンジンに対しては、一旦削除されたコンテンツが新しいURLで復活しないようにすべきだという。
「この有害な状況は、Google自らがその戦略を見直し、『ノーティス・アンド・ステイダウン』アプローチによる予防的な対処を行うことでしか救済されない。つまり、あるコンテンツについてBPIから削除の要請が行われた場合、同一のサイトをふたたびインデックスせず、常に削除された状態にしておく必要がある」とBPIは以前に述べている。
こうした不満を解消するために英国法がどのように改正されるかは不明だが、大手検索エンジンとソーシャルネットワークが、こうした規制強化の流れに反撃に出てくることも予想される。
英国政府が、大手インターネット企業の著作権侵害対策が不十分だと警告したのはこれが初めてではない。2年前、前文化相サジッド・ジェイヴィッドは、今回と同様の「立法」を求めたが失敗に終わった。
“UK Govt Targets Google and Facebook in Piracy Crackdown – TorrentFreak”
Publication Date: May 16, 2016
Translation: heatwave_p2p
Header Image: Prateek Katyal