Electronic Frontier Foundation

2018年4月、上院共和党は、GoogleやTwitter、Facebookなどのインターネットプラットフォームが保守的な政治的観点を積極的に差別しているとの誤った考えに基づき「ソーシャルメディアプラットフォームのフィルタリングプラクティス」という公聴会を開いた。それから1年が経過し、テッド・クルーズ上院議員は、再び上院に同じ道を歩ませようとしている。彼は今週、「表現の自由の束縛:技術的検閲と公共の対話」と題した公聴会を開催しようとしている。

オンラインプラットフォームが表現を排除するコンテンツモデレーションシステムを構築していることは確かだが、保守的言説に対する体系的な政治的バイアスの証拠は何ら見出されてはいない。実際、沈黙させられているのは、すでに社会から無視されている人々や、弱い立場に立たされている人々がほとんどである。

党派性にもとづく意図的なバイアスの証拠が欠如している以上、この公聴会には別の目的があると推測される。その狙いは、現在のプラットフォームの免責条件を「政治的に中立な」コンテンツモデレーションプラクティスを実施する場合に限定することにあるのだろう。実際、クルーズ上院議員は、すでに現行法でもそうなっているはずだと考えていたフシがある。クルーズ議員は昨年、Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOへの質問の中で、表現の自由のための法的保護を享受したいのであれば、モデレーション判断において政治的中立性の規則を遵守していなくてはならないと主張した。しかし幸いなことに、彼の主張は間違いだ。

通信品位法第230条はユーザの表現によって生じるさまざまな責任からオンラインフォーラムを保護している。この保護は、「政治的に中立」であるか否かにかかわらず、コンテンツを一部削除する決定を下したプラットフォームであっても失われることはない。実際、この法律を可決した議会は、プラットフォームがユーザの投稿に過度の責任を負うことを恐れずに、コンテンツを管理する権利を保護することを明確に意図していた。プラットフォームは修正第一条に基づいて、自らのプラットフォームを管理する権利を有し、さらに第230条に基づいて、ユーザの行動に対する責任から免責されている。いずれか一方ではなく、両方の保護を受けているのである。

この数ヶ月、クルーズ上院議員その仲間たちは、このルールを変更し、プラットフォームが政治的に中立ではない場合には、そのプラットフォームは第230条の保護を失うべきだと提案している。善意にもとづく提案のように見えるが、それが逆効果であるのは火を見るより明らかだ。完全な中立性を証明するという無理難題に直面すれば、多くのプラットフォーム――特に、FacebookやGoogleほどのリソースを持たず、訴訟から身を守ることのできない企業――は、単純に少数派の意見や、論争を招く議論を抑制するだけだろう。すでに我々は、FOSTAによって、弱い立場に置かれている人々が互いに繋がり合うプラットフォームが破壊されるという現実を目にしているではないか。

誤解のないように言うと、確かにインターネットプラットフォームは、インターネット上の特定の発言を過剰に検閲するという問題を抱えている。それによって、米国内の弱い立場に置かれているコミュニティ、さらには政府批判が頻繁に取り締まられるミャンマー中国のような修正第一条の保護を受けられない国の人々に悪影響をもたらしている。EFFをはじめとする諸団体は、インターネット企業に対し、誰の投稿をどのような理由で削除したのかについて真の透明性を公共に提供するよう求めている。たとえば、プラットフォームは彼らが削除した投稿に関する真の情報をユーザに提供し、その決定に異議を申し立てる有効な機会を設けなくてはならない。ある文言が許可されているのに、別の投稿ではその文言が許可されないという場合、ユーザはその理由を知らされなければならない。こうした原則は、世界中の75を超える公益団体が承認した「サンタクララ原則」に含まれている。プラットフォーム企業がサンタクララ原則を採用すれば、インターネットにおける表現の自由はさらに保護されることになるだろう。明日、公聴会の証人がこの原則を指摘することを願っている。

Platform Liability Doesn’t – And Shouldn’t – Depend on Content Moderation Practices | Electronic Frontier Foundation

Author: INDIA MCKINNEY AND ELLIOT HARMON (EFF)/ CC BY 3.0 US
Publication Date: April 09, 2019
Translation: heatwave_p2p