以下の文章は、TorrentFreakの「Russia Blocks Shutterstock Domain, Restricting Access to Legitimate Copyrighted Content」という記事を翻訳したものである。
ロシアは著作権侵害コンテンツへのアクセスを遮断するために頻繁にウェブサイトブロッキングを実施してきたが、現在、Shutterstockが提供する著作権法上は適法な画像までもブロッキングされる事態となっている。通信監督機関のロスコムナゾールはこの事態について、ロシアを侮辱していると判断された画像を掲載していたため、同国ISPがimage.shutterstock.comドメインと2つのIPアドレスのブロッキングを開始したと説明している。
著作権侵害コンテンツや海賊版サイト全体へのアクセスをブロッキングするシステムが世界各地に広まっている。
とりわけロシアはブロッキングシステムを整備しており、その結果、ロシア国民は多くの海賊版サイトにアクセスできずにいる。
だが、ロシアのブロッキングシステムは権利者保護のためだけに用いられるわけではない。テロリズムに関連した情報や、市民を危険に晒しうるコンテンツ、さらには国家を侮辱しているとみなされたコンテンツへのアクセスを遮断するためにも恒常的に用いられている。
2019年11月28日、米国のフォトストックサイト「Shutterstock」が、ロシアの禁止ドメインに登録された。このブロッキングは2019年11月13日に検察庁に認可され、以下の画像に示すように1つのドメインと2つのIPアドレスがブロッキングの対象となっている。
通常であれば、これは著作権侵害の問題によって引き起こされたと考えられるかもしれない。しかし、通知の上部に記載されたURLにアクセスしてみると、ロシア国旗が排泄物に刺してある画像が表示される(訳注:URL / Wayback Machine)。ロシアは国家への侮辱を禁じる法律を制定しており、当局もこのように描写された自国のシンボルを快く思うことはない。
その結果、ロシアのISPはShutterstockに関連する2つのIPアドレス(1つはドイツ、1つはオランダ)のブロッキングを開始することになった。同じIPアドレスを使用する他のサイトもこのブロッキングの影響を受ける可能性もあるが、現時点では詳細は不明だ。
さらに、ロシアはimage.shutterstock.comドメインもブロッキングの対象とされている。このニュースを最初に報じたロシアのデジタル権利団体「Roskomsvoboda」が指摘するように、1つのURLを対象とするのではなく、HTTPSサブドメイン全体をブロッキングすることになるため特に問題が大きい。
過剰なブロッキングは決して歓迎されるものではないが、ロシアのブラックリストがコンテンツクリエイターの権利を保護するために頻繁に利用される一方で、Shutterstockを通じてロシアで適法にビジネスしようとするクリエイターの活動を事実上制限しているというのも実に皮肉である。同社がこの事態を解決するために、問題の画像を削除するかどうかは不明だ。
Publication Date: December 03, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Benedikt Geyer