以下の文章は、電子フロンティア財団の「Nigerian Twitter Ban Declared Unlawful by Court: Victory by EFF and Partners」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

西アフリカ諸国経済連合体(ECOWAS)司法裁判所は、ナイジェリア政府が2021年に実施した7ヶ月間のTwitter禁止措置は違法であり、表現の自由とメディアへのアクセスを侵害するとの判決を下した。西アフリカ15カ国が加盟する政治経済連合の同法廷は、ナイジェリアに対し、違法な差し止めを二度と行わないよう指示した。これは地域全体のオンラインの権利にとって極めて重要な判断だ。

2021年、ナイジェリア当局は、同国のムハンマド・ブハリ大統領のツイートが同プラットフォームのルールに違反したとして警告・削除された後、ISPにTwitterへのアクセスを遮断するよう指示した。削除されたツイートは、ジェノサイドをほのめかすものとも指摘されており、Twitterはこのツイートに攻撃的(abusive)とのラベルを付与した。ナイジェリア政府によるTwitter遮断の根拠は極めて曖昧だった。情報文化相は、「このプラットフォームは、ナイジェリアの共同存立(corporate existence)を損ないかねない活動に執拗に使用されている」と述べている

このTwitterの遮断に対して、ECOWASに複数の異議申立が提起され、ナイジェリアの著名NGO――Paradigm Initiative、Media Rights Agenda、Centre For Journalism Innovation & Development、International Press Centre、Tap Initiative for Citizens Development、Media Defenceの4人のジャーナリストらがこの裁判に加わった。EFFも、Access NowやOpen Net Associationとともに、Socio-Economic Rights and Accountability Project(SERAP)が申し立てた裁判で、法廷助言書を共同提出した。その中で、Twitterの遮断はいかなる法律にも裁判所の命令にも基づいておらず、Twitter社がどの法律に違反したのかすら定かでないこと、さらに、ナイジェリア憲法、アフリカ人権及び人民の権利に関する憲章(ACHPR)、市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)、経済社会文化権に関する国際規約(ICESCR)などの法によって保護されている権利について説明した。裁判所はこれに同意し、判決の中で、Twitterの遮断はICCPRとACHPRに違反し、表現の自由と情報・メディアへのアクセスを違法に侵害したとの判断を示した。同裁判所は、ナイジェリア政府に対し、不法な遮断行為が今後二度と起こらないよう、矛盾する法律や政策を修正するよう命じた。

Twitterがナイジェリアでの事業者登録などの複数の条件に合意したことで、この遮断措置は今年1月に解除された。だが、この7ヶ月間の遮断措置は、ナイジェリアに困難をもたらした。ナイジェリア国民にとってTwitterは政府批判の主要な情報源であり、国民の約20%がTwitterアカウントを保持している。例えば2020年には、活動家たちは警察の横暴に抗議する過去10年で最大規模のデモを組織するためにTwitterを利用していた。

政府によるウェブサイトやソーシャルメディアプラットフォームの禁止・遮断の影響は、そのサイトや国だけにとどまるものではなく、インターネット全体の表現を萎縮させる。他のプラットフォームや他の国で声を上げようとする人びとを怖気づかせてしまう。情報共有の最も強力なツールを人びとから奪ってしまう。インターネットの遮断や禁止は、たとえそれを回避するテクニックがあろうと(多くのナイジェリア国民が、禁止されてるにも関わらず、VPNなどを使ってTwitterにアクセスしていたことが報告されている)、オンラインユーザの言論・表現の自由、平和的集会・結社の権利を侵害する抑圧的な手段である。我々は、このような違法かつ危険な遮断措置と戦い続けていく。

Nigerian Twitter Ban Declared Unlawful by Court: Victory by EFF and Partners | Electronic Frontier Foundation

Author: Jason Kelly / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: July 20, 2022
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: Jeremy Bezanger