以下の文章は、電子フロンティア財団の「No Nudity Allowed: Censoring Naked Yoga」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

大半のヌードコンテンツは適法であり、そのような素材との関わりは、個人がアイデンティティを探究しコミュニティを形成し新たな興味を発見する上で、安全かつオープンな枠組みを提供する。だが、ソーシャルメディアと決済事業者は、オフラインとデジタル空間の双方において、人々がヌードとセクシュアリティをどのように想像し、関わるかを決定する存在になりつつある。この欠陥システムによって、ありとあらゆるユーザに重要なエンゲージメントのあり方が排除され、弱い立場にある人々の声が断続的に塞がれている。

先日、裸のヨガ動画をオンラインで提供するプラットフォーム「True Naked Yoda」が検閲を受けた。2022年8月、決済処理会社のStripeは、利用規約に違反した「制限付き業種」であるとして、True Naked Yodaへのサービスの提供を停止した。StripeからTrue Naked Yodaへの通知は、アカウント凍結のわずか4日前だった。

Stripeは2021年12月に同サイトを審査していた。だがその際には指摘はなく、その後も利用規約の変更等をTrue Naked Yodaに警告したこともない。この突然のアカウント凍結により、True Naked Yodaは新たな決済事業者を見つけるまで1ヶ月以上の事業中断を余儀なくされた。

決済事業者は利用規約を執行する権利がある。だがこれは恥ずべきやり方であり、恐るべき前提ともなる。決済事業者は企業や非営利団体にとって不可欠な資金調達ルートである。ウェブサイトはオンライン寄付の受付やオンラインでの商品販売、あるいは単に銀行口座を持っているだけであろうと、その運営を金融機関に依存している。我々は、ウェブサイトの資金ルートに圧力をかけることで適法な言論を封じてきた事例を数多く見てきた

したがって、たとえ利用規約に違反するコンテンツであろうと、決済事業者は顧客に十分な通知を行い、代替手段を探すための猶予を与えるべきである。また、顧客に異議申し立ての機会を与えなくてはならない。

True Naked YogaはEFFに次のように述べている。

このような純潔主義的な戦術は、インターネットを安全にするどころか、むしろセックスワーカー、有色人種、アーティスト、さらには自然主義者のコミュニティにさえ悪影響を及ぼしています。こうした利用規約は、ネットに安全な環境を作るために設けているはずなのに、結果的にネット上からポルノ以外のヌードを排除する状況を作り出しています。

社会、そしてオンラインにノンセクシュアル・ヌードのスペースを許すことは、スティグマやその他の社会文化的有害性との戦いに有益であり、また我々の世界をよりポジティブに形成する繊細な対話を促進するのです」

True Naked Yogaは、マーケティングプラットフォームMailChimpからも「性的強調を伴うサービス、または性的に露骨なコンテンツ(ヌードを描写したイメージを含む)」を禁止したポリシー(Acceptable Use Policy)違反を指摘されている。同時に、Facebook、Twitter、TikTok、YouTubeのアカウントも削除されている。Instagramでは、コミュニティガイドラインに従ってアップロードしたコンテンツだったにも関わらず、アカウントが永久凍結されるまでに4回にわたってコンテンツを削除されている。

ヌードはポルノコンテンツや性的な誘引を伴う素材だけではない。だが、ソーシャルメディアプラットフォームやStripeなどの決済事業者の行動は、どのような言論やヌードがオンライン上に存在しうるかを恣意的に左右している。決済事業者は、適法なコンテンツの検閲をやめ、適切に振る舞うことを学ばなくてはならない。

No Nudity Allowed: Censoring Naked Yoga | Electronic Frontier Foundation

Author: Paige Collins / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: December 19, 2022
Translation: heatwave_p2p