以下の文章は、電子フロンティア財団の「Utah’s Governor Should Veto “Social Media Regulations” Bill S.B. 152」という記事(2023年3月9日公開)を翻訳したものである。文中の法案は、3月23日にスペンサー・コックス知事が署名し、成立した(関連記事)。

Electronic Frontier Foundation

今週、EFFのはユタ州のコックス知事に、危険な「ソーシャルメディア規制」法案のS.B.152(McKell)に拒否権を行使するよう要請した。この法案は、ユーザのセキュリティおよびインターネットアクセスのプライバシー全体を低下させる年齢認証法の潮流に位置づけられるものである。EFFはこれまで年齢確認を義務づける法律に反対してきたが、ユタ州のS.B.152はその中でも最悪である。

S.B. 152は、ソーシャルメディア企業に親・保護者の明示的な同意がない限り、州在住の未成年者のアカウントを作成させないよう求めている。同法案は、1000万人以上のアカウント保持者を抱える、ユーザが投稿可能なサイトを対象としており、ハイキングスポットを共有できるAllTrailsなど一般にはソーシャルメディアとみなされない多数のサイトにも影響を及ぼすことになる。

我々は知事に対し、以下の4つの理由から、同法案に拒否権を行使するよう要請した。

第一に、若者には憲法修正第1条の権利を有しており、S.B.152はそれを侵害する。もしS.B.152が現行のまま施行されれば、ユタ州の若者の大多数は、事実上ウェブの大部分から締め出されることになる。

第二に、若者のアカウントへのペアレンタル・アクセスの義務づけは、プライバシーと言論の自由を害する。研究、コミュニケーション、コミュニティのためにオンラインのプライベートな空間にアクセスできることは、若者にとって極めて重要である。S.B.152はそのプライバシーを剥ぎ取るものである。

第三に、S.B.152はユタ州のすべてのユーザのプライバシーを危険に晒すものである。ユタ州の政治家たちは頻繁に大規模プラットフォームによる個人情報の収集について批判しているが、そのプラットフォームにさらに多くの個人情報の収集を可能にしてしまう。

第四に、この法案は若者に限定されず、広範囲の一般市民の憲法修正第1条の情報受信の権利を阻害するものである。ユタ州のすべてのユーザに、自分のアカウントと年齢、ひいては身元を結びつけることを義務づければ、オンラインで自己表現したり、情報を探索できる人を減らすことになる。さらに、米国には政府発行の身分証を持たない市民が数千万人もいる。そうした人たちは、(訳注:たとえ成人であっても)身分を証明できないことによってオフラインにされてしまうだろう。

ユタ州知事への書簡全文はこちらから

Utah’s Governor Should Veto “Social Media Regulations” Bill S.B. 152 | Electronic Frontier Foundation

Author: Jason Kelly / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: March 9, 2023
Translation: heatwave_p2p