以下の文章は、Mastodon Blogの「The people should own the town square」という記事を翻訳したものである。

Mastodonは、ユーザがオンライン上のソーシャルサークルをコントロールし、自分のタイムラインをキュレーションし、自由に選んだコミュニティと交流できるべきだという理念のもとに設立されました。私たちは、ソーシャルメディアは壁ではなく、橋を築くためにユーザを支援すべきだと考えています。そして、これは連合(フェデレーション)を通じて最もよく実現できると信じています。

今日、私たちはその理想をより確かなものにするため、大きな一歩を踏み出すことをお知らせします。

何が変わるのか

端的に言えば、Mastodonのエコシステムとプラットフォームの主要コンポーネント(名称や著作権などの資産を含む)の所有権を新しい非営利組織に移管し、Mastodonが特定の個人によって所有または管理されるべきではないという意図を明確にします。

創設者のオイゲン・ロシュコがMastodonの開発を始めた当初、彼の関心は理想のソーシャルメディアを実現するためのコードと仕組みづくりにありました。法的な体制は二の次で、とりあえず開発を続けられる程度の整備で済ませていました。ただ、彼は最初から、Mastodonは売り物にはしない。お金持ちの気まぐれで左右されることはないと宣言していました。そして、唯一の意思決定者である自分自身がその約束を守る番人となっていたのです。

このアプローチは当初うまく機能していましたが、コミュニティの成長とともに、Mastodonの構造を進化させる必要性が明確になってきました。約1年前に最初の試験的なステップを踏み、今では複数の組織がMastodonのコードとプラットフォームの管理に携わっています。そして今後6ヶ月かけて、Mastodonの構造は個人所有という初期の形態から、独立した欧州の非営利法人に託すことになります。

これは現CEOのオイゲンの役割も大きく変えることになります。全体管理から離れ、情熱を傾けたかったプロダクト戦略に専念できるようになります。

変わらないもの

私たちの使命はゆるぎません。広告、データの搾取、操作的なアルゴリズム、企業の独占から自由な、真摯で建設的なオンラインコミュニティをユーザが構築できるツールとデジタル空間を作ることです。

mastodon.socialmastodon.onlineの運営も継続します。これらは誰でも参加できるMastodonのサーバで、インスタンスの連合ネットワークをサポートしています。現段階では、通常のコード開発とリリース以外に、ユーザ体験に変更はありません。ただし、変更は確実に進行中です。

実質的に、Mastodonは引き続き欧州に本部を置き、主に欧州から運営されます。日常業務は、新らたに欧州非営利法人の完全子会社となる営利法人Mastodon GmbHを通じて継続します。Mastodon GmbHは、ドイツで慈善団体としての資格を剥奪された結果、自動的に営利法人となりました。国の非営利法人(501(c)(3))は、引き続き資金調達の拠点として機能します。

これからの展望

私たちは段階的に移行を進めていきます。まず、Mastodonの新しい法的拠点を欧州に設立し、資産の移管を行います。適切な管轄区域と組織形態を慎重に選定している段階です。その後、運営の持続可能性を支える他の(子会社の)法人構造を決定していきます。

このプロセス全体を通して、Mastodonの本質と目的にふさわしく、コミュニティに対して責任を持って奉仕できる、適切な統治とリーダーシップの仕組みを確立することに注力します。

Mastodonチームと、この移行を支援してくれた寛大な寄付者グループは、コミュニティからのフィードバックに基づいてプロジェクトの技術面での優先事項を設定しました:使いやすさの向上、コンテンツの発見可能性の改善、信頼性と安全性です。より直感的で使いやすいインターフェースを目指すとともに、Fediscoveryプロジェクトも前進させています。これは、Mastodonが主導し、NGI Searchの支援を受けて開発している、プライバシーに配慮したFediverse全体の検索ツールです。そして最も重要な取り組みが、信頼性と安全性への投資です。社会的に弱い立場にある方々を含め、すべての人々が私たちのプラットフォームで安全を感じられるようにしたいと考えています。新たな人材を迎え入れながら、より強固な信頼・安全性機能の構築に取り組んでいます。具体的には、新機能の開発、インスタンス管理者への研修、コミュニティニーズの把握、そしてIFTASなどの組織との連携を通じて、この重要分野でのリソースを充実させていきます。

また移行の一環として、私たちの運営についてより透明性の高い情報発信を心がけます。ActivityPubを基盤とするFediverseの一翼を担うMastodonを、進化し、拡大し、維持し、管理するために必要なことをお伝えし、コミュニティの直接的な参加をサポートしたいと考えています。移行の進捗状況も、節目ごとにお知らせします。この移行の重要性を認識し、適切に実行することを約束します。

私たちと一緒に歩みませんか?

私たちが運営と優先事項について透明性を保ちたいもう一つの理由があります。私たちにはあなたの助けが必要です。 MastodonやFediverseのような草の値の取り組みには、コミュニティからのクリエイティブな貢献と金銭的な支援が必要です。

2025年の運営には500万ユーロの予算が必要です。この資金でチームを拡充し、コミュニティの安全性に投資し、世界で最も自由でオープンなソーシャルネットワーク――Fediverseの構築を続けていきます。支援いただいたすべての寄付は、Mastodonのソフトウェアエコシステムとコミュニティの充実に還元されます。

MastodonとFediverseを誰もが自由に使える場所として維持していくために、皆様のご支援が欠かせません。強靭で、民主的で、開かれた、そして安全なデジタル空間を築くには、私たち全員が力を合わせて取り組まなければならないのです。

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The people should own the town square – Mastodon Blog

Author: The Mastodon Team / Mastodon Blog (CC BY-SA 4.0)
Publication Date: Jan 13, 2025
Translation: heatwave_p2p