Electronic Frontier Foundation

アダルトコンテンツ・ポリシー:民間検閲の典型例

ソーシャルメディアプラットフォームが、「自主的な」検閲への圧力に抗するべき理由は多数存在する。コミュニティ・スタンダードを執行するという名目で、価値ある適法なコンテンツが排除されてきた歴史がそれを証明している。その結果、言論の差別的に扱われているのだ。

フェイスブックのアダルトコンテンツ・ポリシーはまさにその典型だ。フェイスブックは当初からほぼすべてのヌードコンテンツを禁止している。その初期から、ヌードは性的なものであり、性的なものはポルノであるという短絡的な報告システムが作られ、女性的ヌードと男性的ヌードには異なるスタンダードが適用された

同様のダブルスタンダードは、広告にも適用されているようだ。まず、フェイスブックの広告ポリシーでは、「ヌード、露骨なまたは挑発的な姿勢をとっている人の描写、過度に挑発的なまたは性的に刺激的な行為」が明示的に禁止されている。このポリシーのために、定期的な健診を呼びかける「未成年者の無計画妊娠予防運動」の広告キャンペーンは、「低俗、卑猥、脅迫的、あるいは強い不快感を引き起こす言葉」を禁じるフェイスブックの広告ガイドラインに違反したとして拒否されたのだ。では、どんな言葉が問題だったのか。「健康であればこそ、セクシーでいられる」。

次に、ダブルスタンダード。「不適切な広告」の例としてあげられている画像はすべて女性の画像だ。この一貫性を欠くフェイスブックのジェンダーポリシーに対しては、長年アクティビストが異議を唱えて続けて来た。にも関わらず、フェイスブックはポリシーがあらゆる性に適用されることを意図していると説明する。しかし実際のフェイスブックの判断はまったく一貫しておらず、公正でもない。たとえば同社が提供する広告ツールでは、不健康な習慣を推奨するとして、太った女性の画像を禁止していた(このことが大きく報じられたことで、同社は後に謝罪している)。

最近では、ジャーナリストのサラ・レイシーが、自著『子宮は機能であってバグじゃない(The Uterus is a Feature, Not a Bug)』の広告掲載をめぐり、Uワードが含まれているという理由で拒否したフェイスブックを批判している。……その一方で、認証アカウントからは、陰茎伸張デバイスの広告が画像つきで、多数のユーザに配信されていた。

著者サラ・レイシーは画像左の書籍の広告をフェイスブックに拒否されたという。画像右の広告はフェイスブックに承認されている。

政治的分断が進む最中、そんな問題どころではないと軽視することは簡単だ。しかし、日々行われている検閲は、ソーシャルメディアユーザに深刻な影響を及ぼすおそれがある。Onlinecensorship.orgが公表した報告書には、多くの人々の生活の中心にフェイスブックが置かれていることが示されている。一時的、あるいは永久にアカウントを凍結された人びとは、友人や家族から切断されたと絶望し、また別の人びと(特にクリエイティブ産業の従事者)はBANされたことで仕事にも大きく影響したという。

アダルトコンテンツやヌードに関するフェイスブックのポリシーは、女性やトランスジェンダーに不相応な影響を与えている。広告ポリシーも同様だ。こうしたポリシーは、弱い立場にある者を検閲する一方で、特権的なユーザには別のスタンダードを適用する、差別的で一貫性のないものである。

フェイスブックなどの民間企業が、自らのプラットフォーム上にふさわしいコンテンツを選択し、制限する権利を有することは理解している。しかし企業は、自らが選択したポリシーを一貫して公正に運用し、コンテンツを削除されたユーザに対しては異議申し立ての手続きを用意しなくてはならない。私たちはフェイスブックに対し、コンテンツの同等な扱いと、一貫したポリシーの適用を求める。
Adult Content Policies: A Textbook Case of Private Censorship | Electronic Frontier Foundation

Author: Jillian C. York / EFF / CC BY 3.0 US
Publication Date: DECEMBER 7, 2017
Translation: heatwave_p2p