EFFの創設者であり、ビジョナリーであり、そして私たちの精神的支柱でもあるジョン・ペリー・バーロウが今朝、静かに息を引き取ったことをお伝えしなければならない。バーロウと彼が遺した知恵は、これからも我らEFFと共にある。
今日私たちが知る、そして愛するインターネットの大部分は、バーロウのビジョンとリーダーシップによって存在し、発展していると言っても過言ではない。長く沈黙させられてきた人びとが、その声を聞いてくれる人を見つけ、物理的な距離に関わらず他者とつながることができる――彼は常にインターネットをそのような根源的に自由の場として見てきた。
時にバーロウは、インターネットが人類のあらゆる問題を解決できると盲信するテクノ・ユートピア主義者だと揶揄された。しかし、27年間に渡って、EFFで同じ時間を過ごしてきた私は、まったくのデタラメだと断言できる。バーロウは、新しいテクノロジーが善を生み出し、育て上げるのと同じように、悪を生み出し、育て上げてしまうことを理解していた。彼は意思決定において、いつも後者を意識していた。「未来を創り出すための近道は、予言してしまうことだ、ということも理解している。だから私は、ユートピアを予言した。ムーアの法則やメトカーフの法則が、まさにエドワード・スノーデンのいう『ターンキー全体主義』をもたらしてしまう前に、『自由』に助走をつけさせてやりたかった」
バーロウが遺した永遠の遺産は、インターネットを「人種、経済力、軍事力、あるいは出自によって与えられた特権や偏見とは無関係に、誰しもが立ち入ることができ、[…] 誰もがどこでも、沈黙や服従を強制されることなく、たとえどれほど奇天烈な考えであろうとも、自らの信念を公表することができる世界」にするために、彼の人生を捧げたことだ。
これから数日間、バーロウがインターネットとこの世界のために果たした極めて重要な役割についてお伝えしたい。私たちはこれまでと変わらず、彼の夢を実現するために取り組んでいくつもりだ。
John Perry Barlow, Internet Pioneer, 1947-2018 | Electronic Frontier Foundation
Publication Date: January 18, 2018
Translation: heatwave_p2p
20年以上も前に(ビル・クリントンの横っ面を張っ倒さんとばかりに)書かれた「サイバースペース独立宣言」を持ち出して、「これがインターネットの正しき姿だ!」などと言うつもりはない。ただ、インターネットがナニモノになるかすら理解できなかった時代に、インターネットの向かうべき方向性を強烈に示したのは確かだ。
もちろん、今インターネットがどれほどの問題を抱えているかは理解している。しかし、その問題のどう解決すべきかを考える時、葛藤を抱えつつも、インターネットの自由を可能な限り守りつつ実現されねばならないと考えてしまうのは、やはり「サイバースペース独立宣言」があってこそだと感じる。
一度失われてしまった自由を回復するのは、自由を守ること以上に困難である。