下院司法委員会は4月26日、「ソーシャルメディア・プラットフォームの閲覧制限(フィルタリング)プラクティス」に関する公聴会を開催する。この問題に一般市民が関心を寄せることは極めて重要だ。オンライン・プラットフォームの所有者が、そのメンバーの言論を厳しく取り締まるよう求められれば、適法な言論をも沈黙させられる結果を招きかねない。公聴会に先立ち、EFFが司法委員会に提出した書簡の簡単な要約を以下に示そう。
私たちの始動原理はシンプルである:修正第一条の下、ソーシャルメディア・プラットフォームやインターネットの中間事業者は、どのような表現を伝えるかを決定する権利を有する。しかし、企業が裁判官や陪審員の役割を果たしうるということは、そうすべきであるということを意味しない。
私たちはみな、自由に出会い、創造し、集い、共有し、繋がり、議論し、学ぶ場としてインターネットを必要としている。私たちはテクノロジーが可能にした手段で私たちの声を届けたいと願っている。誰もが嘘をつかれたり、間違いを伝えらたり、ヘイトメッセージを目にしたり、あるいはそのような情報でニュースフィードが溢れかえることを望んでいるわけではない。選挙が操作されてはならないし、女性やマイノリティの声がハラスメントによって沈黙させられるべきでもない。
しかし、オンライン・プラットフォームにインターネット上の言論を今より積極的に取り締まるよう仕向けたとしても、インターネットは公正にも安全にもなることはない。ソーシャルメディア・プラットフォームが厳格なモデレーション・ポリシーを採用すれば、意図せぬ結果を招くことになる。たとえば性的コンテンツに関するTwitterのポリシーは、リプロダクティブ・ヘルスやコンドームの投稿の削除を招いた。YouTubeの暴力的なコンテンツを禁止するポリシーは、シリア戦争を伝えるジャーナリズムをサイトから削除させた。ユーザの発言を制限すればインターネットにおける特定の態度や行動を「修正」できるという誘惑にかられているのかもしれないが、ウェブプラットフォームの実際のプラクティスを見れば、オンライン・コミュニティを健全にするどころか、無辜の市民を黙らせている。
確かに、卑劣なコンテンツが削除されたという事案がしばしば注目を集めている。しかし、迫害や暴力の標的となった人びとのストーリーは伝えられているものよりも遥かに多いのだ。力を持たない人たちは、まず第一に自分たちの声を届けようともがいている。ソーシャルメディアは、その現実を変えるために手を差し伸べることができるし、そうあるべきだ。決して、虐げられている状況を悪化させるものであってはならない。
だからこそ、プラットフォームによるコンテンツ・フィルタリングに対しては、細心の注意を払わなくてはならない。コンテンツのフィルタリングを強いる圧力が高まるなか、プラットフォームがどのように対応するのかを懸念している。節度あるモデレーションから積極的な検閲まで、危険な坂道を滑り落ちてしまうからではない。私たちは既に、その坂道をだいぶ滑り落ちてしまっているためだ。
これ以上、滑り落ちることのないよう、そしてその道筋を後戻りさせるよう、インターネットにおける自由な言論を保護し、育てるために、プラットフォームが取りうるステップを以下に列挙する。
- 透明性の向上
- イノベーションと競争の促進:たとえば、相互運用性を促進することによって
- 明確な通知と同意手続き
- 堅牢な異議申し立てプロセス
- ユーザ・コントロールの促進
- 匿名性の保護
詳細はこちらの声明をご覧いただきたい。
議会は、プラットフォームにフィルタリングや言論の削除を義務づけるのではなく、セーフハーバーを守り、匿名言論を保護し、テイクダウンルールをオープンにし、一貫性のある公正かつ透明性の高いプロセスに従うよう促しつつ、インターネット上の言論に悪影響を及ぼす可能性のある新たな仲介事業者要件の導入は避けねばならない。
EFFはこの公聴会に出席を求められ、当初は前向きであった。しかし、返答する前に公聴会は別の方向にシフトしていった。政策立案者やプラットフォームには建設的な議論を期待する。
Platform Censorship Won’t Fix the Internet | Electronic Frontier Foundation
Publication Date: April 25, 2018
Translation: heatwave_p2p
ロイターによると、26日に開催された下院司法委員会では、共和党議員は、大手ソーシャルメディア企業が保守的な意見を検閲していると批判。企業側はそれを否定し、民主党議員からも「でっちあげだ」との反論があったようた。