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ロシア連邦通信局はTelegram遮断の一環として、少なくとも50のVPNおよび匿名化サービスをブロックしたことを明らかにした。さらなるブロッキングが進行するなか、次の標的なViberではないかとの懸念が広がっている。一方、Telegram遮断のため、膨大なIPアドレスへの絨毯爆撃を実施した連邦通信局の局長が辞任したとの噂が広がっている。

ロシア国内で暗号化メッセンジャーを提供する事業者は、当局への登録を義務付けられている。さらに、当局の要請に応じて暗号鍵を提出する義務もあり、ユーザは常に監視されうる状態に置かれている。

大手メッセンジャーサービス「Telegram」は、ロシアの圧力に屈することはなかった。創業者のパヴェル・デュロフは、暗号鍵の提出を要求するロシア連邦保安庁の訴訟に敗北したものの、月間2億人に及ぶTelegramユーザのプライバシーを傷つけることはしないと宣言。ロシア連邦通信局はその状況に対処すべく、Telegramにブロッキングを実施するための訴訟を提起した。

先月、モスクワ地裁がロシア国内でのTelegramの禁止を命じたことで、カオス状態に突入した。ロシア全国のISPがTelegramのブロッキングに乗り出し、同社に接続を提供するAmazonとGoogleの数百万に及ぶIPアドレスをブロック。Telegramとは無関係な企業や個人のサービスも大量に巻き込まれた。

このような絨毯爆撃が行われたにもかかわらず、Telegramのサービスは依然としてオンラインにとどまった。もちろん、時おりアクセスに問題を抱えることにはなったが、Telegramやその他のファシリテーターの決断により、コミュニケーションの流れが途切れることはなかった。

さまざまなVPNや匿名化サービスが大規模な反撃に参加し、ISPブロッキングの回避を可能にした。しかし彼らもまた、トラブルに巻き込まれることになった。Telegramへのアクセスを助長しているとして、ロシア当局によりブロッキングの対象とされてしまったのだ。木曜、連邦通信局は取締まりの規模を明らかにした。

連邦通信局の副局長はタス通信に対し、数十に及ぶVPNや類似のサービスがブロッキングされており、その数は今後も増える可能性があると語っている。

「差し当たっては50」とサボティン副局長は言う。

Telegramに続いてVPNプロバイダが標的とされてしまったが、混乱はさらに広まるかもしれない。暗号鍵の提出を拒んでいるサービスが次のターゲットにされるのではないかとの懸念が広がっているためだ。

ニコライ・ニキフォロフ通信情報大臣は今週、Viberが協力的な姿勢を見せなければ、Telegramと同じ運命を辿るかもしれない、と記者団に語った。Viberは日本企業が所有し、ルクセンブルグに拠点を置くコミュニケーションアプリだ。

「これは連邦保安庁(FBS)の管轄だ。暗号鍵提出の執行命令のような特定の問題に関する権限は、FBSが持っている」とニキフォロフ大臣は語った

「FBSが暗号鍵の提出を受けられないとなれば、彼らは裁判所に同様の命令を下すよう申請することもできる」と記者団の質問に答えた。

オンラインではさまざまな混乱が渦巻く一方で、連邦通信局の内部もまた、混乱が生じているようである。この数日、連邦通信局のアレクサンドル・ザロフ局長が辞任したとの噂がロシアメディアを駆け巡っている。

ニコライ・ニキフォロフ大臣は今週の記者会見で、これは首相の専権事項であるとしてコメントを控えた。

「この問題についてコメントするつもりはない。政府がこれを決定したのであれば、各部局の長は首相が任命したということ。人事に口を挟む立場にはない」と話した

ドミトリー・メドヴェージェフ首相が声明を発表するかどうかはまだわかっていないが、彼の事務所は今週、ブロッキング――とブロッキングの回避――をめぐる問題に自ら踏み込んでいる。

5月1日、ナターリア・コスチェンコ下院議員はFacebookの公開投稿で、Telegramのブロッキングにより問題を抱えていることを明らかにした。

「親愛なる友よ、Telegramで私宛のメッセージを送らないでください。あなたのメッセージは受け取れていません。私宛の連絡は別のチャンネルを使ってください」とコスチェンコは書き込んだ。

これに対し、ドミトリー・メドヴェージェフのナタリア・ティマコバ報道官は、彼女がTelegramに再びアクセスするためにブロッキングを回避するよう指示したのだ。

「VPNを使ってください! とても簡単ですし、ほぼうまくいきます」とティマコバはコメントしている

もちろん、それがブロックされるまでの間だが……。

Russia Blocks 50 VPNs & Anonymizers in Telegram Crackdown, Viber Next – TorrentFreak

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: May 4, 2018
Translation: heatwave_p2p
Header Image: Andrey Larin / BY 2.0