以下の文章は、電子フロンティア財団の「The Breadth of the Fediverse」という記事を翻訳したものである。

Electronic Frontier Foundation

先日、ワシントン・ポスト紙がミーガン・マッカードルの「Twitterがリプレースされるにしても、それはMastodonなどの模倣サービスではない」という論説記事を掲載した。この記事は、Mastodonがオープンソースプロジェクトにありがちな罠にハマっていると主張する。一般的なユーザが大して気にしないような機能ばかりに執着し、オリジナルを成功に導いた要素を失った模倣品を作っているに過ぎないという。彼女は、Twitterに引導を渡すためには、大衆が気づいてすらいない彼らが望んでいたものを提供しなければならないと提案する。

だが、我々は同意しない。Mastodonはフェディバースの一部として、真に相互運用可能でポータブルなソーシャルメディアを提供するものである。単なるTwitterクローンとしてしか見ていないのであれば、どんなソーシャルメディア・プラットフォームにもなりうるというフェディバースの利点を見落としている。それがプロトコルの力だ。フェディバースは全体としてマイクロブログサイトであり、写真や動画、ブックリストや読書記録を共有するためのサイトでもある。

これはフェディバースの誤解として典型的なものであるが、百聞は一見にしかず、実際にActivityPubの広大な世界がどのように機能しているのかを見てみることにしよう。

はじめにPeerTube。動画投稿サイトで、他のユーザをフォローしたり、動画をアップロードしたり、動画にコメントしたり、「いいね!」したりできる。こちらはオープンソースプロジェクト「Blender」のメインチャンネルページで、ここからチャンネルの購読も可能だ(以下の画像はすべて、右クリックして「新しいタブで開く」を選択すると鮮明な画像が表示される(訳注:本ブログでの公開にあたり、タップorクリックで新規タブにて画像を開くようにした))。

この例では、toot.ioでMastdonの仮アカウントを作成した。上記の「Remote Subscribe」をクリックすると、Mastodonのアカウントに移動する。ここからフォローをクリックすると、MastodonのアカウントでBlenderのPeerTubeアカウントをフォローできる。

これで、BlenderがPeerTubeに新しいビデオを投稿するたびに、Mastodonのタイムラインに表示されるようになる。ここからビデオに「いいね!」を押したり、リプライもできるし…

…その「いいね!」やリプライはシームレスにビデオのページに表示される。

PixelfedもActivityPubをベースにした画像共有SNSだ。開発責任者のダン・スーパーノルトのホームページがこちら。

BlenderのPeerTubeページと同様に、ここから彼をフォローすることもできる。ただ、彼のユーザ名がわかっているなら、Mastodonアカウントから直接彼を検索することもできる。

これもPeerTubeのときと同様、ダンをフォローすると彼の画像がMastodonに表示されるようになり、私たちの「いいね!」やコメントもPixelfedも表示されるようになる。

これらは汎用の共通プロトコル、とりわけActivityPubがソーシャルネットワークにもたらしうるイノベーションのほんの一例に過ぎない。フェディバースには、ソーシャルリーディングプラットフォームのBookWyrm、音楽パブリッシング・共有サービスのFunkWhale、長文ブログプラットフォームのWriteFreelyなどもある。

フェディバースは、これらすべてが、誰がどのように見たいかに応じて相互運用されることを約束しているのである。たとえば私はMastodonでPixelFedの画像を見たいと思えば、たとえPixelFedで閲覧したほうがもっときれいな状態で閲覧できるとしても、Mastodonで閲覧できる。また、私がMastodonで書いたコメントは、PixelFed上で思った通りの形で表示されるのである。

致し方ないことであるが、Twitterからの移住者はフェディバースをTwitterの代わりと考えてMastodon(あるいはmicro.blog)を使う傾向にあるが、それはフェディバースが秘めている可能性のほんの一部にすぎない。問題はフェディバースがTwitterの代わりになるかではなく、プロトコルが我々のオンライン生活をとりまくプラットフォームを取り戻すことができるか、なのである。ここで勢いづけば、フェディバースはソーシャルウェブの基盤となり、TumblerやMediumなどの既存のシステムを巻き込みつつ、フェディバースに背を向けるサービスを完全に置き換えてしまうかもしれない。

The Breadth of the Fediverse | Electronic Frontier Foundation

Author: Ross Schulman / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: February 2, 2023
Translation: heatwave_p2p