以下の文章は、Fight for the Futureの「Statement: Emerging digital assets should protect users’ privacy and other rights」という記事を翻訳したものである。
以下は、Fight for the Futureのキャンペーン&コミュニケーション・ディレクターでのリア・オランド(she/they)の声明である。
我々は、デジタルドル(いわゆる中央銀行デジタル通貨:CBDC)、ステーブルコイン、暗号通貨等のデジタル資産の責任ある発展に関するパブリックコメント募集に応え、この文章を記している。すべてのテクノロジーは、周縁化されたコミュニティを抑圧・搾取するものであってはならず、生活を向上させ、エンパワーするために使用されるべきだと我々は考える。もしデジタル資産が将来的に採用されるのであれば、それは正しく行われなければならない。可能な限り、そして民主主義のために、多くのものを奪ってきたこの世界において、新たなテクノロジーがユーザの代理権、人権、自由を保護することを保証しなければならない。
2022年3月19日の大統領令140967号に基づきデジタル資産の導入・開発を調査するにあたっては、プライバシー、インクルージョンの重要性を考慮することが不可欠である。とりわけ、妊娠できる人がその主体性と権利を奪われた今日のポスト・ロー環境においては、そのような価値観が特に重視されなければならない。こうしたテクノロジーは、一般監視・管理体制に貢献するものとしてではなく、利用者の経済的プライバシーとインクルージョンを確立するために機能しなくてはならない。デジタル世界のセキュリティを保証するうえで、強力な暗号化は極めて重要であり、米国政府が開発するあらゆるデジタル資産の設計において可能な限り用いるべきである。ユーザはプライバシー権の保護を確信し、ウォレットの中に監視バックドアがあるのではないかと心配せずにすむ環境に置かれなければならない。
米国では、およそ4人に1人が銀行口座を持たない、あるいは持てない状況にある。その大半が低所得で、若く、主に黒人やヒスパニック系の人々で、小切手の換金という簡単な金融取引でさえ、高い手数料と手間という多大なコストを強いられている。銀行口座を持たない人たちは、法外な手数料を請求されるだけでなく、コミュニティを差別的に扱ってきた略奪的なサービスに頼らざるを得ない状況に置かれている。このトレンドが継続すれば、2053年までに黒人世帯の資産の中央値はゼロにまで縮小してしまう。政府はデジタル資産の開発において過去の過ちを繰り返してはならない。周縁化されている人々を阻害するデジタルデバイド、金融デバイドの双方を埋めるために努力すべきである。
デジタル資産を発展させるための取り組みは、彼らを監視することによってではなく、周縁化された人々のニーズを中心に据えることによってこそ前進させるべきだ。現在のエコシステムにおいては、周縁化された人々は企業と法執行機関の双方から体系的・差別的な監視を受けている。巨大企業や金融システムによる人権侵害から脱却し、プライバシーと自由の強化を目指すべきである。これまで米国では、クレジットカード会社その他の略奪的な機関からの金融監視をオプトアウトする権利が現金によってもたらされ、それは長らく法によっても支えられてきた。デジタル資産は、万人のプライバシー保護、匿名性、非許可性、アクセシビリティを重視し、現金がもたらしてきた利点を可能な限り再現しなければならない。こうしたテクノロジーは、ビッグテックやビッグバンクではなく、日常生活者の利益を中心に据えたものでなければならない。デジタル資産の規制は、公共の利益を犠牲にして、強欲企業や全体主義政府を利するように調整されてはならない。
デジタル資産は、金融排除・検閲・監視・アクセス・所有権に対する革新的なソリューションにもなりうるし、政府による監視、操作、排除のための恐るべきツールにもなりうる。もし米国政府がこの技術を採用し開発するのであれば、それは正義、プライバシー、表現の自由、市民的自由をしっかりと組み込んだものでなくてはならない。
Fight for the Future – Statement: Emerging digital assets should protect users’ privacy and other rights
Author: Fight for the Fiture
Publication Date: August 4, 2022
Translation: heatwave_p2p
Material of Header image: Freepik