TorrentFreak

400人のアーティストらとRIAAなどの音楽産業団体は、現在の著作権法を改正するよう議会に求めている。彼らは、DMCAは時代遅れで、機能しておらず、有害であると主張し、彼らが直面としているパイラシーに対抗する強い手段が必要だという。

1998年、ビル・クリントン大統領が署名したデジタルミレニアム著作権法(DMCA)は、著作権法をデジタル時代に対応させることを目的としていた。

DMCAはインターネット・サービスにセーフハーバーを導入した。サービスプロバイダは削除要請を適切に処理し、侵害を繰り返すユーザへの対策を講じることで、ユーザの著作権侵害の責任を追わない、とするものであった。

しかし近年、著作権者やインターネット・サービス、一般市民から、さまざまな欠点があるとのシグナルが発せられている。権利者サイドからは、DMCAはクリエイターを守るには不十分だとする一方で、検閲や濫用が増えていることを警告する人もいる。

いずれの側の懸念も増していることから、米著作権局はDMCAセーフハーバー条項の影響と有効性を評価すべく、パブリック・コメントの募集を開始した。

数時間前、400人のアーティストと、RIAA、音楽出版社協会、A2IMなどの音楽団体の連名で、意見書が提出された。70ページにもおよぶ提出書類は、音楽産業がDMCAの何が不十分と見ているのかを包括的に概観し、大幅な改正を求めている。

「音楽コミュニティは、DMCAに数多くの不満を抱えている」とし、「同法は1998年当時には有効だったのかもしれないが、現在では時代遅れで、有害ですらある」という。

音楽産業のコメントは、検索エンジン、とりわけGoogleに重点を置いている。近年、音楽会社は数億の削除要請をGoogleに送っている。しかしそうした努力にもかかわらず、著作権侵害コンテンツは未だに検索結果の上位に表示されている。

「ノーティス・アンド・テイクダウンのシステムは、膨大な数の海賊版のデジタル音楽に対処するには役に立たず、大洋にティースプーン1つで放り出されるようなものである」と彼らは記している。

「著作権者は、自分の作品を守るために削除要請を何度も何度も送り続ける無限のゲームに従事することを強制されるべきではない。最初に削除を要請した作品とは別に、あるいはまったく同じ侵害が、最初の時とは僅かに異なるURLで行われるからである」

音楽団体は、一旦削除された侵害コンテンツがふたたび別の場所に現れないようにする高度なテクノロジーとプロセス――いわゆる「ノーティス・アンド・ステイダウン」アプローチを求めている。

ここには、音声指紋技術、ハッシュ・マッチング技術、メタデータ相関、既に削除されたコンテンツを示すリンクの削除などが含まれる。

「『URLごとに』削除する現在のスタンダードは、無限のURLを生み出す世界においては合理的ではない」

また、DMCAのセーフハーバー条項は、明らかに著作権侵害から利益を上げているサイトをも保護しているとも指摘する。

RIAAらは、セーフハーバー条項は多くの疑わしいサイトの「刑務所釈放」カードとなっているとして、変更を求めている。

「最悪の場合、DMCAセーフハーバー条項はコンテンツ窃盗から利益を上げるビジネスモデルとなる。このシステムはクリエイターを犠牲にして一部のデジタルサービスをリッチにする事実上の政府補助が関の山である。この20年目を迎える、20世紀の法律はアップデートされなければならない」

音楽産業団体は、こうした問題がDMCAを「機能障害を起こした遺物」としているとして、議会に行動を起こし、彼らの利益を守るより良い著作権法を提出するよう求めている。

われわれが見てきた限りでは、米国政府に提出された反DMCAコメントとしてはもっとも強いものである。しかし、締切が過ぎた今日以降に、さまざまなコメントが公表されることになるだろう。

ほとんどの著作権者はより厳格な著作権侵害対策を求め、多くのインターネット・サービスとアクティビストは、増加の一途をたどっているDMCAの濫用と検閲に焦点を当ててくるだろう。

今週初め、Googleが助成した研究報告書において、Googleに寄せられたDMCA削除要請の30%近くが「疑わしい」ものであったことが明らかになった。また、EFFは市民にDMCAで怖い思いをした経験を共有するよう求めていた。

さらに、Fight for the Futureは、市民が著作権局にDMCAの乱用を止めるべきだという意見を送る手助けをするキャンペーンページをローンチした。このキャンペーンは1日のうちに5万件のコメントを生み出し、政府のウェブサイトを「クラッシュ」させた

“Music Industry: DMCA Copyright Law is Obsolete and Harmful – TorrentFreak”

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: April 01, 2016
Translation: heatwave_p2p
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