TorrentFreak

マーケティング・セールス会社のSmart Circleは、同社に批判的なブロガーの個人情報を得るためにDMCAを利用し、Wordpressに対する召喚状を得た。同社は、問題のブロガーが同社従業員の写真を加工した画像を公開しており、著作権侵害だと主張している。

大手ブログプラットフォームのWordPress.comは、毎年数千のDMCA削除要請を受け取っている。

WordPress.comはすべての通知を慎重に精査していることで知られており、数々のDMCAの濫用からユーザを守ってきた。加えて、彼らは独自に「恥辱の殿堂」というページを開設し、あまりにひどいDMCAの濫用事例を晒しあげている。

今週、Wordpress.comは通常とは異なる困難に直面した。著作権侵害の疑いに基づき、ユーザの個人情報を開示するよう求めるDMCA召喚状が届いたためだ。

問題のユーザは「The Devil Corp」というブログを運営しており、マーケティング・セールス会社Smart Circleにきわめて批判的な記事を多数掲載している。

「この企業共同体は社員から搾取することで利益をあげている。彼らは社員を家畜のように働かせ、自由な時間を一切与えない」とブログには書かれている。

「連中は(従業員を)奴隷のようにこき使い、そのくせ経済的自由の機会だなどとうそぶく。『オーナーたち』はできる限り働かせ続けるために夢を売りつけているだけだ。ヤクの売人のほうがまだマシだ」

とんでもない罵声であるが、まさしく、米国において言論の自由として認められている言論である。とはいえ、Smart Circleにはこのブログを攻撃するための別のルートが残されている。

昨年11月、Smart Circleは複数の著作権侵害画像を削除するようWordPress.comに求めた。その画像は、同社の運営するウェブサイトからコピーされたものだった。この問題の画像は、Smart Circleの主要従業員の画像であった。

この写真はすみやかにWordPress.comから削除され、ブログの運営者はそれに反論はしなかった。その代わり、彼は従業員を悪魔風にしたポートレートに差し替えた修正版をアップロードした。

「これらの写真は明らかにフェアユースの範疇であるが、不要な法的トラブルを起こさないためには、削除したうえで風刺的なやり方に差し替えたほうが得策だと考えた」

Smart Circleのパロディ/風刺
smartcircle

それから数カ月後、Smart CircleはWordPress.comにふたたびDMCA通知を送り、その修正された画像の削除を要請した。しかし今回は、WordPress.comはその画像を削除しなかった。

Smart Circleはその判断が気に食わなかったらしく、裁判所にブログオーナー(退職した元従業員)を召喚するよう求めた。つまり、同社はWordPress.comにブログ運営者の個人情報を開示するよう求めることができるということである。

wpsubpoena

TorrentFreakがWordPress.comの親会社であるAutomatticにコンタクトを取ったところ、まだ受け取っていはいないととう。

「このメールを書いている時点では、召喚状は届いていません。 届いた場合は、その時点で選択可能な選択肢について検討します」と同社は話す。

WordPress.comがDMCA削除要請に応じなかったことを考えると、彼らはこの召喚状に反論するかもしれない。

この件は、DMCAの濫用に関する最近の議論に関連するものだろう。多くのインディペンデントなコンテンツ・クリエイターやデジタル・ライツ・アクティビストがこの数週間、さまざまなかたちの濫用やその脅威を訴えている。

Smart Circleは(少なくとも法律の面で)最後の一線を越えたわけではないが、このようなフェアユースと思しきケースにおいて、批判を封じ込めるためにDMCA召喚状が使われることを疑わしく思う人も少なくないだろう。

“Company Uses DMCA to Censor and Expose Critical Blogger – TorrentFreak”

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: June 17, 2016
Translation: heatwave_p2p
Header Image: Dinuraj K / CC BY 2.0