Electronic Frontier Foundation

ワシントンDC:電子フロンティア財団(EFF)は本日、FacebookやGoogleをはじめとするソーシャルメディア企業に対し、削除されたユーザ投稿数の公表、ユーザへの削除理由の詳細な説明、説明責任を高めるための異議申し立てポリシーの実装を求める。

EFF、米自由人権協会(ACLU)北カリフォルニア支部、民主主義とテクノロジーセンター(CDT)、ニューアメリカ財団オープンテクノロジー研究所、および学識者、表現の自由擁護者のグループは本日、テクノロジー企業がコンテンツポリシーを補強し、強化するための最低限の基準として「サンタクララ原則」を公表した。平易な言葉で詳述されたこのガイドラインは、プラットフォームがコンテンツを削除する理由や方法のみならず、検閲れた表現の数についても公表することを求めている。これらの原則は、「コンテンツのモデレーションおよび削除」カンファレンスに合わせて公表された。サンタクララ原則に関する作業は、2月にカリフォルニア州サンタクララで開催された第1回カンファレンスではじまった。

「私たちの目標は、コンテンツガイドラインの施行を、公平かつ透明性が高く、バランスがとれ、ユーザの権利を尊重するものにすることです」とEFFのネイト・カードーゾ上級弁護士は話す。

シャーロッツビルなどで生じた暴力的な抗議集会の結果、ソーシャルメディアプラットフォームは、コンテンツを取締まり、アカウントを凍結し、投稿を削除するよう求める強い圧力に直面している。しかし、ヘイトスピーチを削除する過程で、完全に適法かつ有意義な言論を誤って削除してしまうことが頻発している。逆説的に、社会的弱者がこのような取締まり活動により特に大きな打撃を受け、ソーシャルメディアを活用してコミュニティへの暴力や抑圧を訴える機会が失われている。テクノロジー企業のプロセスは極めて不透明だ。適切な説明も、適切な手続きも、情報開示もなされぬままに、秘密のアルゴリズムによって表現が検閲されたとしても、誰の得にもなりはしない。

ミャンマーオーストラリア、欧州、中国、そして米国その他の地域の社会的弱者のコミュニティにおいて、インターネット上で発言して良いことの判断に極めて重要な役割を果たすプラットフォームは、ユーザに対する更なる透明性と説明責任が必要とされています」と国際的表現の自由問題担当ディレクターのジリアン・C・ヨークは語る。「ユーザは、ある投稿では許されている言葉が、別の投稿では許されない理由について知らされなければなりません。また、自分の投稿にどのようにフラグが立てられたのか――政府がフラグを立てたのか、あるいはプラットフォーム自身がフラグを立てたのか――についても知らされなければなりません。そして、誰であっても、表現を遮断する判断に対して異議を申し立てる機会が与えられなければなりません」

「サンタクララ原則は、テクノロジー企業によるユーザへの情報開示と、コンテンツ取締まりの仕組みへの理解を促進するための、プライバシー擁護団体の長年の取り組みの成果です」とカードーゾは言う。FacebookとGoogleが先日、透明性を向上させるための取り組みを実施しており、私たちはそれを歓迎している。しかし、まだ不十分である。テクノロジー企業がサンタクララ原則を受け入れ、透明性と説明責任をさらに高めることを期待している。

サンタクララ原則は、以下の3つの原則から成る。

  • 削除された投稿数、コンテンツガイドライン違反により永久または一時的に凍結されたアカウント数を公表する
  • 禁止されるコンテンツのタイプを全ユーザに明確に通知し、影響を受けるユーザに対し、コンテンツの削除の理由ないしアカウント凍結の理由を明確に通知する
  • 最初の判断に関与していない人物の目視によるレビューを経てコンテンツ削除を実施し、いかなるコンテンツ削除、アカウント凍結にも意味のあるタイムリーな異議申し立て手続きを提供できるようにする

サンタクララ原則は、EFFによるインターネットの自由な表現の唱導、コンテンツモデレーションにおける透明性向上の継続的な取り組みから生まれたものである。2015年以降、EFFはOnlinecensorship.orgプロジェクトを通じて、インターネットにおける削除報告を集約している。このプロジェクトでは、どのようなコンテンツが削除されたのか、テクノロジー企業がどのような判断によりコンテンツを削除したのか、コンテンツの削除が世界中のユーザコミュニティにどのような影響を与えているのかといった点を明らかにしている。

2010年にはじまったEFFの「Who Has Your Back」年次報告書は、政府への個人情報の提供に関して最良あるいは最悪な企業を明らかにしている。今後のプロジェクトでは、コンテンツ取締まりポリシーに関する透明性を検証し、サンタクララ原則を企業が最低限必要とする基準のベンチマークにするつもりだ。

「コンテンツ削除やアカウント凍結の慣行は、世界各地の人びとの生活や仕事に大きな影響を与える可能性があります」とOnlinecensorship.orgの共同創設者でもあるヨークは言う。「インターネットの表現を削除する企業は、コンテンツ取締まりポリシーの矢面に立たなければなりません。今、ユーザは暗闇の中に置かれ、聞かれるべき声が自動的に永遠に沈黙させられている。それは変えていかなければなりません」。

サンタクララ原則参加団体・個人:
米自由人権協会北カリフォルニア支部
民主主義とテクノロジーセンター
電子フロンティア財団
ニューアメリカ財団オープンテクノロジー研究所
イラーナ・ライク(サンタクララ大学マークラ応用倫理学センター)
ニコラス・スザ―(クイーンズランド工科大学)
サラ・T・ロバーツ(カリフォルニア大学教育・情報学部情報学科 )
サラ・メイヤー・ウェスト(南カリフォルニア大学コミュニケーション・ジャーナリズム学部)

原則のテキストについて
https://newamericadotorg.s3.amazonaws.com/documents/SantaClaraPrinciples.pdf

コンテンツモデレーションに関する詳細について
https://www.eff.org/deeplinks/2018/01/private-censorship-not-best-way-fight-hate-or-defend-democracy-here-are-some邦訳

EFF and Coalition Partners Push Tech Companies To Be More Transparent and Accountable About Censoring User Content | Electronic Frontier Foundation

Author: EFF / CC BY 3.0 US
Publication Date: May 7, 2018
Translation: heatwave_p2p