ロシア政府の検閲に宣戦布告するTelegram、デジタル・レジスタンスを訴える

TorrentFreak

ロシア当局がメッセンジャーサービス「Telegram」のIPアドレスへの全国的なブロッキングを指示したことで、昨日より、同サービスは甚大な被害を被っている。しかし、その取り組みはTelegram創業者のパヴェル・デュロフ氏の怒りに火をつけただけのようだ。彼は「デジタル・レジスタンス」の一環として、VPNプロバイダに数百万ドルのBitCoinを寄付することを約束している。

昨日より、ロシアは無料のクロスプラットフォーム・メッセンジャー「Telegram」との戦争に突入した。諜報機関のロシア連邦保安庁（FBS）をはじめとする当局は、Telegramの暗号鍵を提出するよう求めていたが、同社はそれを拒否し続けてきた。

その結果、2億人ものユーザを抱えるこのサービスは、大規模な攻撃を受けることになる。先週金曜、Telegramの禁止を認めた判決により、当局はISPに対し、広範囲に及ぶIPアドレスのブロッキングを命じた。

Telegramのサービスが利用するAmazonとGoogleは、いずれも検閲の対象となり、その第一弾として約180万のIPアドレスがブロッキングされた。しかし、これは政府にとってまだまだ序の口だった。

スイスに滞在するTelegramの創業者、パヴェル・デュロフ氏は昨晩遅く、ロシアが暗号化メッセージング・プラットフォームとの戦いを激化させていることを認めた。

Within the last two days, Russia blocked over 15 million IP addresses in attempts to ban Telegram on its territory. Regardless, Telegram remained available for the majority of Russia’s residents #digitalresistance https://t.co/2syVbVzXPg

— Pavel Durov (@durov) 2018年4月17日

＜ロシアは国内でのTelegramの使用を禁止するために、この2日間で1500万以上のIPアドレスをブロックした。それでも、Telegramは大多数のロシア在住者が利用できる状態にある。#digitalresistance ＞

もちろん、1500万のIPアドレスは莫大な数に及ぶ。ロシアのTelegramユーザが1400万人であることを考えれば、1人に1つのIPアドレスと考えても余分にブロックされている。その結果、Telegramとは無関係なサービスがブロッキングによる影響を受けているとの報告もある。しかし、その程度のことでロシアが思いとどまるはずもない。

ロイター通信によると、通信規制当局のロシア連邦通信局（Rozcomnadzor）は、GoogleとApple [アップデート：さらにAPKMirror] に対して、ロシア国民がTelegramにアクセスできないようにするためにアプリストアから削除するよう要請している。両者がこの応えるかどうかは不明だが、現時点では、公式な声明や具体的な行動は示していない。

デュロフ氏は昨晩、ロシア政府の要請に従わない企業に感謝の意を表明しつつ、その取り組みがこれまでほとんど効果を上げていないと主張した。

「禁止措置にもかかわらず、ロシアではVPNやプロキシで禁止措置を回避するユーザが多いため、ユーザ・エンゲージメントの大幅な低下は今のところみられていない。また、使用しているサードパーティのクラウドサービスが一部残っているため、それを利用するユーザは影響を受けていない」とデュロフ氏はTelegramに投稿している。

「ロシアのTelegramユーザの皆さん、あなたの支援と支持に感謝します。Apple、Google、Amazon、Microsoftの政治的検閲に協力しない姿勢にも感謝します」

デュロフ氏によれば、ロシアのTelegramアカウントはユーザベースの約7％を占めるという。現在の自然増加率を考えれば、7％のユーザを失ったとしても2〜3カ月程度で十分補えるだろう。しかし、ロシア当局による圧力は、このシリアル・アントレプレナーの怒りに火をつけてしまったようだ（訳註：デュロフ氏はロシア最大級のソーシャルメディア「フコンタクテ（vKontakte ＝VK）」の創業者でもある。ロシア政府や諜報機関との情報開示を巡る対立により、VKの経営権を事実上奪い取られている）。デュロフ氏は検閲に対する戦争を宣言した。

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「ロシアやその他の地域におけるインターネットの自由を支援するため、SOCKS5プロキシやVPNを運営する個人や企業に対し、助成金を提供することにした」とデュロフ氏は語る。

「今年、この信念のために数百万ドルを寄付できることを幸せに思う。みなさんも是非、加わってほしい。デジタル・フリーダムと世界的な進歩のために立ち上がる分散的ムーブメント――すなわち、デジタル・レジスタンスに」

Telegramのみならず、ロシア版Facebookとも呼ばれるフコンタクテの創業者でもあるデュロフ氏は、侮れない人物だ。彼の約束は決してうわべだけのものではないだろう。ロシアは暗号化をめぐって越えてはならない一線を越えてしまったが、それはデュロフ氏に立ち向かうエネルギーを与えただけのように思える。デュロフ氏はロシア国内の、そして世界中の検閲への対抗運動を後押しすることになるだろう。
Telegram Founder Pledges Millions in Bitcoin For VPNs and “Digital Resistance” – TorrentFreak