TorrentFreak

Netflixやディズニーなどの著作権者を騙る詐欺師たちが、GoogleのDMCA削除ツールを悪用し、検索結果を操作している。複数のウェブマスターが、この申し立てにより、数百のリンクがオフラインにされていると不満を訴えている。成りすましの被害にあった海賊版対策会社のMUSOやBlue Efficienceは、同社の名前で提出された要請のなかに不正なものが含まれていることを認めた。

我々はこの数年、奇妙なDMCAテイクダウンに関する記事をお伝えしてきた。

その大半は、自動化されたボットや、単なる無能さによって引き起こされたミスであったのだが、最近では、DMCAが悪意を持って濫用されるケースが増えてきている。

正当な著作権者やその代理人を騙る詐欺師たちは、Googleに数百万のURLを削除するよう要請している。こうしたリンクの多くは、本物の海賊版サイトに関係しているのだが、その真の目的は著作権を保護することにはない。

むしろ、こうした削除要請は「競合サイト」の足を引っ張ることを目的としているようだ。

こうした通知の多くは、よく知られた企業を騙って送信されているが、最近では、以前には使用されてこなかったさまざまな企業名――たとえば『Walt Disney LTD』――を使用するようになっており、Googleの透明性レポートを混乱させる要因ともなっている。

たとえば、この削除要請 は、Walt Disney Companyがロシア企業の「WebControl」に代わって送付したことになっているが(関係があべこべであるが)、この通知には、リンク先で映画「ダークサイド(Looking Glass)」の著作権が侵害されていると記載されている。

著作権者やその代理人に成りすました「詐欺師」が、無数の虚偽の報告を行っている。その多くは、ロシアのドメインとサイトをターゲットとした、ロシア国内から送付されている削除要請なのだが、それ以上の詳細はわからない。

1つのサイトに対し数十から数百のURLを削除するようGoogleに要請しているケースもある。

適法な要請と詐欺的な要請との区別がつきにくいものもあるが、なかには明確に違うものもある。

疑わしい削除要請

こうしたフェイク要請は次第に気づかれてきている。ロシア版のGoogleウェブマスター・フォーラムには、サイト所有者がこの問題を議論するスレッドが立てられ、多数の悪質な詐欺師について言及されている。

被害者の多くが海賊版サイトであることが問題を複雑にしているのだが、しかし、家具店が競合他社のリンクを削除するよう要請しているケースも確認されている。

影響を受けているのはロシア語のサイトがほとんどだが、英国の海賊版対策企業「MUSO」が申し立てたとされる複数の疑わしい要請も含まれている。我々が同社に確認したところ、この申し立てはフェイクだという。

「Googleからは、成りすましの申し立ては特定されており、申請されたURLについては何の対処もしないと報告されています。個々の申し立てについては、正式な法的手続きを経て、詳細な情報を請求できるかもしれません」とMUSOは話す。

フェイク申し立ての成りすまし被害にあったもう1つの会社は、フランスの「Blue Efficience」だ。彼らは「Anti-piracy net」の名前で虚偽の申し立てが行われていたことに気づいたが、Blue Efficienceという名前も同様に悪用されているという。

たとえば、この削除要請はBlue EfficienceがNetflixの代理人として送付したことになっているが、フェイクであるという。同様に、20世紀フォックスパラマウント・ピクチャーズなど、多数の企業が成りすましに利用されている。

「最近、『Blue Efficience』を騙って削除要請を申し立てている人物が確認されました。おそらく、『Anti-piracy net』を騙っていた人物と同一人物でしょう」とBlue Efficienceのティエリ・シュヴィヤールは言う。

すでにGoogleはこの問題を把握し、一部を虚偽の申し立てとして処理しているが、すべてがそのように判断されているわけではない。著作権を保有していない詐欺師たちが、競合サイトを蹴落とすためにすでに数百万のURLを削除させている可能性もある。

この問題はこの数週間、国際的なウェブマスター・フォーラムでも議論されている。iKinoHD.ccのオーナーは、つたない英語でこの問題を報告した

「ウェブマスターとGoogleの管理人の皆さまに、ロシア、ウクライナ、カザフスタンからご助力をお願いします。蚊のような連中が、DMSAを悪用し、[検索結果から] 競合サイトのリンクをすべて削除しようとしています」と彼は言う。さらに「この状況は、すでに2月から続いています」と付け加えた。

このサイトオーナーは、こうした虚偽の削除要請に対処するという著作権者にもコンタクトを取ったという。

このスレッドでは、そもそも海賊版サイトが虚偽の削除要請に文句を言える立場か、という議論に変化していった。いまのところ、Googleは正式な回答を投稿していない。一方、フォーラムのトップ・コントリビューターは、「米国の法律ではどう規定されているか」を説明し、被害を受けた人々に異議を申し立てるようアドバイスしている。

我々もGoogleにコメントを求めたが、1週間が過ぎても返答はない。その間も問題は続いている。Googleは一部の成りすましにはフラグを立てているが、依然として多くの成りすましがそのフラグを逃れている。

‘Impostors’ Manipulate Google With Fake Takedown Request – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: August 5, 2018
Translation: heatwave_p2p
Materials of Header Image: Howard Pyle / Viscious-Speed