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ロシア通信規制当局「ロスコムナゾール(連邦通信局)」局長はプーチン大統領と会談し、同国の海賊版対策について話し合った。もはやロシアは海賊版の安全地帯ではないと宣言したアレクサンドル・ザロフ局長は、すでに17000の海賊版サイトへの申し立てが提出されており、すでに 6000のサイトがブロッキングされていると述べた。

西側政府や大手エンターテイメント業界がインターネットを襲う海賊版コンテンツへの対策に手を焼く中、ロシアは海賊版対策戦争のトップランナーとして突如躍り出てきた。

同国は過去数年で複数の法律を制定し、海賊版コンテンツの入手を制限している。司法手続きは大量のサイトを迅速に扱い、多数のサイトが違法コンテンツの削除を命令されたり、一時的・恒久的なブロッキングを受けている。

今週、通信・情報技術・マスコミュニケーション監督局(ロスコムナゾール)のアレクサンドル・ザロフ局長はウラジミール・プーチン大統領と会談し、国内の状況について1対1で報告した。

2つのトピックがアジェンダとされた。1つは数百万のロシア企業が保有する個人情報の保護について、もう1つは知的財産権の保護だ。

海賊版について議論するプーチン大統領とザロフ局長

(Credit:Kremlin)

「この3年間、知的財産権保護の法律は機能しています。著作権者からの申立の大半は、映画に関するものです」とザロフはプーチンに告げた。

「この3年間に、6000件以上の申し立てが処理されています。主に(国内)企業からの申し立てですが、モスクワ市裁判所で訴訟を起こしている関係で西側企業もごく一部含まれています」

モスクワ市裁判所は、海賊版サイトにより損害を被っている著作権者からの訴訟を受け、サイトに対する侵害コンテンツの削除命令や、国内ISPによるブロッキングの手続きを進める。

ザロフは、現在ロシアの著作権執行には3者が関わっていると説明する。申立を提出する権利者、その措置を決定するモスクワ市裁判所、裁判所命令の履行を監督するロスコムナゾールだ。ザロフは、現在17000の海賊版サイトに申立が起こされていると大統領に説明した。

「数年前、ロシアのインターネットは海賊たちの安全地帯でした。あらゆるプレミアム・コンテンツが数百、数千のリソースに登場し、いくぶん低品質ではありましたが、無料で視聴できる状態にありました」

「いまや状況は劇的に変わっています。6000のリソースがブロッキングされ、11000のサイトがそうしたコンテンツを削除しました。この数字がそれを物語っています」

「2018年には、ロシアの映画史上初めて、映画『Move Up』の興行収入が30億ルーブル(約4550万ドル)に到達しました。これは米国の超大作映画に匹敵する規模です」と語った。

ザロフはさらに国内コンテンツ産業の成長ぶりをプーチン大統領に伝えた。昨年、正規ストリーミングサービスは前年比60%増となる80億ルーブルの売上を記録したという。伝統的な映画館も好調で、前年に比べ40%増の5500万人がプレミア上映に足を運んだと伝えた。

「私たちは著作権者とともに、この取り組みを継続していくつもりです。すでに最大手の海賊版サイトはブロックされております。インターネットの浄化を今後も続けていきます」と彼は結論づけた。

プーチン大統領との会談ではポジティブなメッセージが飛び出す一方で、グループIBからはあまり楽観視できない報告書が公表されている。

このサイバーセキュリティ企業によると、2016年に「わずか」33件だった違法な映画盗撮によるリークは、2017年には211件と500%以上の増加が記録されたという。さらに、2018年に入ってからの8ヶ月間だけですでに280件の映画がインターネットにリークされたという。サイトブロッキングを実施しているにもかかわらずだ。

「2018年に公開されたほぼすべての映画が、海賊版としてインターネット上にリークされており、2017年に映画館で公開された477本の映画のうち、211本が海賊版としてリークされている。1年間で6倍以上になったことを意味する」とIBは報告している。

Putin Told That 6,000 Pirate Sites Have Been Blocked in Three Years – TorrentFreak

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: October 01, 2018
Translation: heatwave_p2p
Header Image: Victoria_Borodinova