以下の文章は、TorrentFreakの「Internet Archive Faces Permanent ISP Blocking Following Audiobook Lawsuits」という記事を翻訳したものである。
ロシアの作家を代表する海賊版対策団体が、ロシアのISPにインターネット・アーカイブを永久にブロッキングさせるよう求めている。小説『メトロ2033』、『サード・アイ・ダイヤモンド』の2作のオーディオブックに関して起こされた訴訟は、ロシア国内で非常に人気の高いArchive.orgに永久にアクセスできないようにするという要請につながった。その事態を回避するための法的手続きが現在進められている。インターネット・アーカイブ(archive.org)は、数百万の書籍、映画、ソフトウェア、音楽を無料で提供する非営利ライブラリだ。
1996年に設立されたインターネット・アーカイブは、ウェブに公開されたページの履歴を提供するWayback Machineを始め、インターネットにおける最重要サイトの1つとなっている。
この手のあらゆるプラットフォームと同様に、インターネット・アーカイブは著作権で保護されたコンテンツも扱っており、その一部は著作権者の許諾なく公開されている。かつてインターネット・アーカイブがDMCAに関連した懸念を表明していたように、Archive.orgを通じて提供されるライブラリの存在には『セーフハーバー』条項が必要不可欠であることを認めている。
インターネット・アーカイブは、適切に提出されたDMCA削除通知に応じることが求められている。だが、数百万人の利用者に貴重なサービスを提供しているロシアにおいては、事態はきわめて悪い方向に進み始めている。
この問題は、作家の著作権団体「インターネット著作権保護協会(AZAPI)」に端を発している。
AZAPIによると、Archive.orgは権利者の許諾を得ることなく、ドミトリー・グルホフスキーの『メトロ2033』とダリヤ・ドンツォヴァの『サード・アイ・ダイヤモンド』のオーディオブックを提供しているのだという。AZAPIが一般的な削除通知をインターネット・アーカイブに提出して同作品の削除を要請していたかどうかは不明だが、いずれにしてもこの件は裁判に持ち込まれた。
デジタル権利団体「Roskomsvoboda」は、モスクワ市裁判所が2019年5月13日に『メトロ2033』に関する訴訟を審理し、AZAPIに有利な判決を下したと伝えている。原告側の主張は、インターネット・アーカイブ(Archive.org)が原告の指摘するサイトにオーディオブックを公開させるために「技術的条件を作成した」という点以外は、すべて認められた。
Roskomsvobodaによれば、インターネット・アーカイブはこの審理には出廷しておらず、その結果も知らされていなかったという(現在は、Roskomsvobodaの弁護士がインターネット・アーカイブの代理人を務めている)。そのため、彼らは上訴の準備を進めている。
にもかかわらず、AZAPIはさらに追撃を加えようとしている。彼らはもう1つのオーディオブック、ダリヤ・ドンツォヴァの『サード・アイ・ダイヤモンド』がArchive.orgで提供されていると訴えたのだ。
この件に関する審理が8月16日に開かれ、AZAPIはインターネット・アーカイブ(Archive.org)をロシアの全ISPが恒久的にブロッキングするよう求めた。だが、同作のオーディオブックを提供する企業が実際に権利を保有している証拠をAZAPIが提出しなかったため、すんなりとは行かなかったようだ。
その結果、9月中旬に再び審理が行われることになった。モスクワ市裁判所がインターネット・アーカイブに対するロシア国内での永久ブロッキングを命じるかどうかは未だ不明だが、これまで同裁判所は巨大プラットフォームのブロッキングをためらったことはない。Sci-Hubがそうであったように。
Internet Archive Faces Permanent ISP Blocking Following Audiobook Lawsuits – TorrentFreak
Publication Date: August 23, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Jason Scott (CC BY 2.0)