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この数年、英国の映画館から映画が流出することはなかったが、2018年には状況が一変したようだ。英国映画協会のレポートによると、昨年、国内の映画館で『海賊』インシデントが140件発生し、3本の映画が流出したという。同協会は映画館関係者に警戒を強めるよう訴えている。

海賊版サイトに映画が流出するのをいかに遅らせるか――映画製作者や映画館、映画業界の関係者が常に頭を悩ませている問題だ。

それゆえに、映画館は常に観客に目を光らせている。

映画館スタッフは、不審な行動を見極め、それに応じた行動を取るよう特別な訓練を受けている。さらに、映画盗撮者の確保に貢献すれば、報奨金まで与えられる。

英国では、映画コンテンツ保護局(FCPA)がこうした報奨金や映画関係者のトレーニングを担っている。英国では毎週のように映画盗撮「インシデント」が発生しているため、こうした組織が必要とされているという。

英国映画協会の年次報告書によると、2018年にはこれまでの記録を更新する140件の「映画盗難」インシデントが発生した。

「個人が映画館で映画を撮影しようとする試みが頻発しており、2018年には英国内の映画館で140件のインシデントが発生した。これは新記録ではあるが、1年を通じて大きく抑えられた時期が続いた」と報告書には記されている。

映画盗撮者が頻繁に発見される一方で、国内の映画館からの流出は稀であると協会は指摘する。実際、この3年間、英国の映画館から流出したとみられる映画は発見されていなかった。しかし、2018年にはそれも変わった。

10月、新たにバーミンガムの映画館で盗撮された映画が流出したのに続き、それとは別の映画が、コーンウォールからさらに2件流出していた。

これは大きな後退ではあるものの、映画協会によれば、FCPAは捜査に着手した警察当局に協力しており、昨夏有罪判決を受けたサンダーランドの21歳の男性のように、犯人を裁判にかけようとしているという。

「年末の時点で、FCPAはこの3つの事件について、ロンドン市警の英国警察知的財産犯罪ユニットの捜査に協力している」と報告書には記されている。

報告件数は増加しているものの、これが実際の海賊行為の増加を反映したものかどうかは不明である。昨年、68の映画館の2200人以上のスタッフがFCPAの海賊版対策研修を受講していることから、そうした意識の高まりが報告件数増加の一因になっている可能性もある。

また、警戒を強化するために、報奨金制度の維持も強調されている。映画館スタッフは、映画盗撮を発見した場合、最高1000ポンド(訳註:約14万円)の報奨金が与えられるという。

「こうした警戒と意識を高め、インセンティブを与えることは極めて重要であり、FCPAは映画館スタッフによる報奨プログラムを通じた映画館における海賊行為対策の重要性を引き続き認識している」と報告書にはある。

「今年に入り、違法な映画盗撮を制止した52人の映画館スタッフが、3月と9月のプレゼンテーションで報奨金を受け取った」と映画協会は記している。

FCPAのウェブサイトには、映画盗撮者を発見する方法について詳しい情報が掲載されている。中でも、暗視ゴーグルの使用が推奨されている。

「館内では、最新の軽量かつ静かな暗視装置の使用が望ましいでしょう。特に盗撮のターゲットになりやすい最新作では、スクリーンチェック時の使用が推奨されます」とアドバイスしている

こうした様々な措置を通じて、英国の映画業界は海賊インシデントを抑止したいと考えている。監視を強化することで、最初は多くのインシデントが報告される可能性があるが、流出自体は再びゼロにしたい、ということなのだろう。

There Were 140 Piracy ‘Incidents’ in UK Cinemas Last Year – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: May 23, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Felix Mooneeram