以下の文章は、TorrentFreakの「RapidVideo Shuts Down Following Legal Pressure from Warner Bros and Netflix」という記事を翻訳したものである。
数百万ものユーザを抱える人気のファイルホスティングサービス「RapidVideo」が、ついに敗北を認めた。同サイトはWarner Bros.とNetflixからの訴訟を含む、MPAとACEの弁護士からの法的圧力に直面している。収益の減少と法的圧力の高まりが相まって、サイトの継続はもはや不可能だと運営者は言う。
RapidVideoは、ビデオのホスティングに特化した人気のファイルホスティングサービスだ。
ほかのファイルホスティングサービスと同様に、良いことにも、悪いことにも使える。この場合の「悪いこと」は、海賊版ビデオのアップロードだ。
サイト運営者がそれを望んでいるか否かはさておき、RapidVideoのユーザの多くは実際にそうしている。2週間前にも同サイトは映画業界団体のMPAからまたしても痛烈な批判を浴び、同サイトは「悪名高い」海賊版天国と非難された。
その一方で、ウェブサイト運営者に対しても大きな圧力がかけられている。RapidVideoは最強クラスの海賊版対策団体であるMPAとACEの弁護士から標的とされ、大規模な著作権保護措置を要求されている。
この圧力を後押しするようにMPA/ACEのメンバー企業のWarner Bros. EntertainmentとNetflixの2社は、同サイトで行われている著作権侵害を阻止するためにドイツで訴訟を起こしている。この裁判は現在も続いているが、サイト運営者は判決を待たずしてサイトの閉鎖を決断した。
同サイトに定期的に訪問する数百万人のユーザには、現在404エラーが表示されている。
TorrentFreakは、RapidVideoの運営者、「アレックス・バイツ〈Alex Bytes〉」に話を聞いた。彼は今年はじめに新たなEU著作権指令が採択された直後から閉鎖を検討していたという。同指令により、一部のサイトにはアップロードフィルタが準義務化されかねないためだ。
「EU域内では、第13/17条に基づく法改正が予定されていて、サービスプロバイダにはより困難な状況が待ち受けているのです」とアレックスは言う。
RapidVideoの閉鎖には、Warner Bros.とNetflixからの訴訟を回避する狙いがあるという。またアレックスは、広告収入が激減しており、いずれにしても継続する理由はほとんどないと話す。
アレックスによると、ACEとMPAは以前に海賊版のアップロードを防止する大規模な対策を要求していたという。権利者たちは、ハッシュ値やファイル名によるフィルタリングよりもさらに踏み込んだ「テイクダウン・ステイダウン(削除されたコンテンツの再投稿の防止)」ポリシーを要求していた。
権利者側は、YouTubeのコンテンツIDのようなシステムを実装し、アップロードされたファイルを著作権侵害のあるコンテンツと一致させるための、高度なフィンガープリント技術の使用を求めていた。
こうした技術の導入には相当な投資が必要になるため、RapidVideoには不可能な選択肢であった。残されたもう1つの選択肢、つまりサイトの閉鎖は、係争中の裁判を考えるとますます魅力的になっていった。
「閉鎖すれば、弁護士は私と法廷で闘う理由がなくなりますから」とアレックスは言う。
だが現時点では、この訴訟は継続中だ。TorrentFreakはWarner Bros.とNetflixの弁護士にRapidVideoの決定の今後の裁判の方針についてコメントを求めたが、本稿執筆時点ではまだ回答は得られていない。
RapidVideo Shuts Down Following Legal Pressure from Warner Bros and Netflix – TorrentFreak
Publication Date: October 21, 2019
Translation: heatwave_p2p