以下の文章は、TorrentFreakの「Disney Wants to Reinforce Its ‘Piracy Intelligence’ Team」という記事を翻訳したものである。

TorrentFreak
ディズニーは今週、独自のビデオ・オンデマンド・プラットフォームを引っさげてストリーミング市場に参入した。この新サービスには大きな関心が寄せられているが、依然として海賊版が大きな懸念となっている。これこそまさにディズニーの「海賊版インテリジェンス・チーム」が注視する領域であり、目下対策強化を模索しているようだ。

今週、ディズニーは新たなストリーミングプラットフォームをローンチし、すぐさま数百万人の加入者を獲得した。

同時に、海賊版サイトには「無許可」のDisney+コンテンツが溢れ、とりわけ独占配信の『マンダロリアン』シリーズに注目が集まった。

世界最大のエンターテイメント企業として、過去数十年に渡って海賊版との戦いを繰り広げてきたディズニー社には、ある程度は予想通りではあったのだろう。だが独占プラットフォームの運営という新たな領域に踏み出した現在、従来とは別の対策も必要になってくる。

たとえば、独占リリースは海賊版レートにどのような影響を与えるのか。加入者の月額料金にどのような影響を及ぼすのか。あるいは、合法的な供給と違法な供給との相互作用が収益にどのような影響を及ぼすのか。解かなくてはならないパズルは複雑かつダイナミックだ。

明らかなことは、ディズニー社が海賊版の流通を最小限に抑え込もうとしているということだ。大々的に公表されてはいないが、同社は海賊版流通の状況をつぶさに監視する専属の「海賊版インテリジェンス・チーム」が存在している。

つい先日、おそらくはDisney+のローンチに際して、新たな空席ができたようだ。詳細はほとんど不明だが、ディズニー社はこのチームを次のように説明している。

「ウォルト・ディズニー・スタジオの海賊版インテリジェンス・チームは(カリフォルニア州)バーバンクを拠点に起き、映画やテレビ事業の収益を最大化し、海賊版の影響を最小化する戦略を講じるための、著作権侵害に関する意味のある洞察を提供しています」

ディズニー社は最近、さまざまな「海賊版インテリジェンス活動」や「デジタル・メディア・プラットフォームにおける映画やテレビの視聴傾向の測定」を担当する市場調査・データアナリストを募集している。

残念なことに、ディズニー社の海賊版対策チームの目標とその成果に関する情報はネット上にはほとんど書かれていない。TorrentFreakは同社の複数の担当者にコンタクトを取っているが、現時点では回答は得られていない。

だが大手エンターテイメント企業が海賊版の動向を注視していることは周知の事実だ。

少なくともエンフォースメントに関してはしばしば明らかになっており、これはディズニー社も同様だ。同社が加盟する世界的な海賊版対策団体「ACE」は、これまで幾度も海賊版サイトの所有者や海賊版アプリの開発者に対する訴訟を起こしている。

だが、海賊版「インテリジェンス」は貴重な市場のシグナルとしても利用可能だ。この点は、ディズニー社が現在求めている「市場調査」や「データアナリスト」といった人材がまさに適任だろう。

こうした海賊版流通のマーケティングへの利用は、以前にも見られている。Netflixが海賊版の利用状況から、その国での価格設定ライセンスすべきコンテンツを探っていたし、Huluも潜在的視聴者に人気のコンテンツを調べていた。

ディズニー社も同様のシグナルを用いて、Disney+をどう位置づけるか、海賊版を最小限に抑え込むためにどのようなコンテンツを提供すべきか、もちろん、収益を最大化するにはどうすればよいかの判断材料にするかもしれない。

この仕事に応募しようとは思わないが、1つアドバイスを送るとすれば、一刻も早く世界中のあらゆる地域の人たちにDisney+を提供すべきだ。現在、多くの人が疎外感を感じていて、それがDisney+の海賊版への魅力を高めている。

もちろん、インテリジェンスチームはもう気づいているだろうが。

Disney Wants to Reinforce Its ‘Piracy Intelligence’ Team – TorrentFreak

Author: Ernesto / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: November 19, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: George Pagan III