以下の文章は、TorrentFreakの「More ‘Pirate’ CDNs Shut Down Following BREIN, MPA, ACE Legal Action」という記事を翻訳したものである。
TorrentFreak先日、BREIN、ACE、MPAは手を組み、ロシアの「海賊版」ストリーミングサイトの80％に映画・テレビ番組を提供していたコンテンツ配信ネットワーク「Moonwalk」を閉鎖に追い込んだ。TorrentFreakが新たに入手した情報によると、今回の閉鎖によってほかのCDNも市場から姿を消したという。
先週金曜、オランダの海賊版対策団体BREINは、映画著作権協会（MPA）とAlliance for Creativity and Entertainment（ACE）と共に、海賊版映画とテレビ番組の大規模な供給業者に対して行動を起こした。
コンテンツ配信ネットワークとして知られるMoonwalkは、ロシアのストリーミングサイトの推定80％にサービスを提供していたという。これらのサイトは、Moonwalkから広告とともに海賊版の映画やテレビ番組を提供するビデオプレイヤーを埋め込んでいた。Moonwalkは1000ビューにつき0.6ドルをサイトに支払っていたという。
オランダに拠点を置くホスティングプロバイダ5社への、Moonwalkの切断およびその運営に関する証拠の保全を求める一方的裁判所命令を執行したBREINの執行官は、同CDNが閉鎖し、「二度と復活することはない」と発言した。
TorrentFreakは今週、サイバーセキュリティ企業のGroup-IBに話を聞いた。同社はシンガポールを拠点とする企業で、インターポールやユーロポールとの協力関係にあり、以前にもMoonwalkの活動について詳細を提供してくれた。先週の法的措置の影響についても、興味深い最新情報を語ってくれた。
Group-IBによると、閉鎖時点でのMoonwalkの規模は、BREINが先週発表した控えめな数字よりも大きかったという。BREINは2万6千本以上の映画、1万本以上のテレビ番組が保存されていたと述べていたが、Group-IBによると映画は28,258本、テレビ番組は14,549本であったという。
だが、最大の関心を集めているのは、閉鎖後の波及効果と市場の状況だ。
Group-IBは、もう1つの大手「海賊パワード」のCDN、「HDGO」も、BREINとその仲間たちのアクションを受けて閉鎖したのだという。HDGOがMoonwalkと同じインフラの一部を利用していたことから、Moonwalkの閉鎖が連鎖的に波及したものと見られる。
「別のCDNに比べて、HDGOはいち早く新しいコンテンツを提供し、海賊版ウェブサイトのオーナーに高収入を保証していました」とGroup-IBの海賊版対策・ブランド保護担当副ディレクターのドミトリー・チュンキンは話す。
第二の「海賊パワード」CDNの「Kodik」もまた、Moonwalkのアクションの結果、閉鎖した。KodikはMoonwalkやHDGOと同じインフラを利用していたと見られており、BREINの裁判所命令の影響はMoonwalkだけにとどまらなかった可能性がある。
「Kodik CDNはMoonwalkサーバ、特にテレビ番組のコンテンツが保存されているサーバを利用していました。我々の推計によると、Kodikはテレビ番組1万7千本のうち8千本を失ったようです。MoonwalkとKodikは海賊版コンテンツの『交換契約』を交わしていたことが知られています」とチュンキンは付け加えた。
MoonwalkのCDNプレイヤーは数千のウェブサイトに埋め込まれていたと見られており、このプレイヤーの消滅はさらに大きな余波をもたらすと考えられる。
「Moonwalk、HDGO、Kodikの閉鎖は、短期的にはロシアのオンライン海賊版に大きな打撃を与える可能性があります。しばらくは、海賊版ビデオコンテンツの配信を中心にそうなるでしょう」
だが、「海賊版CDN」市場にいるのは、MoonwalkやHDGO、Kodikだけではない。Group-IBによると、昨今の海賊版対策の取り組み、さらにこの副次的影響にもかかわらず、長期的にはMoonwalkの「多数の競合」がそのギャップを埋めるべく参入してくる可能性が高いという。
同社は、HDVB、VideoCDN、Collapsなどの大手を含め、10の「海賊版パワード」CDNが市場に供給をしているという。
「Group-IBのデータによると、ロシアでは映画の80％がストリーミング再生されており、テレビに至ってはその割合は90％にまで増加しています」と言う。
「ロシアの海賊版ユーザの大多数がこの種のCDNを利用しているのは、こうしたCDNが映画やTVシリーズなどの数十万のファイルを保存し、それを海賊版ウェブサイトに自動的に配信する技術的サービスを提供しているためです」
「この種のCDNプロバイダの中には、映画のポスターや解説をサイトに自動入力したり、場合によっては独自のレビューを提供するウェブモジュールを提供しているところもあります」
最後に、グローバル市場への影響という点では、Group-IBは今回の閉鎖が世界全体の供給量の5〜10％に影響する可能性があるとしながらも、「あくまでも一時的な変化に過ぎない」と釘を差している。
More ‘Pirate’ CDNs Shut Down Following BREIN, MPA, ACE Legal Action – TorrentFreak
Publication Date: October 25, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: NASA Johnson (CC BY-NC 2.0)
