以下の文章は、TorrentFreakの「Media & Telecoms Companies Reveal “Self-Learning” Anti-Piracy System」という記事を翻訳したものである。

TorrentFreak

ロシアの主要メディア、通信会社の業界団体「メディア・コミュニケーション・ユニオン(Media Communication Union)」が、新たな海賊版対策システムを発表した。7月に著作権者に提供される予定のこのシステムは、ニューラルネットワークを利用して人間の介入の必要性を減らしつつ自己学習するという。

昨年11月、ロシアの主要メディアとテクノロジー企業は、インターネット上の海賊版コンテンツの増加に対処するための画期的な覚書に署名した

この合意の重要なポイントは、エンターテインメント業界が著作権侵害と判断したコンテンツへのリンクを集めたデータベースの構築するという点だ。

検索プラットフォームの運営者は、5分毎にこのデータベースを参照し、6時間以内に検索結果からコンテンツへのリンクを削除することに合意している。これは、Yandex videoやRuTubeなどのコンテンツ・ホスティング・サイトにも適用される。

このデータベースの構築は急速に進み、主要メディア・通信会社の業界団体「メディア・コミュニケーション・ユニオン(MKC)」によると、現在30万のリンクが集約されているという。しかし企業は、カスタムソフトウェアを追加することで、このシステムを大幅に改善できると考えているようだ。

そしてMKCは今週、コンテンツをより迅速かつ効率的にデータベースに追加する新たな海賊版対策システムのテストを開始したことを明らかにした。このツールでは、URLは手動で入力する以外に、不正なコンテンツを特定する「特別な検索システム」からの入力も受け付けるという。

「特別に訓練されたニューラルネットワークに基づく自動化されたソリューションにより、権利者からの報告で指摘されたサイトのコンテンツが分析される」とMKCはいう。

MKCによると、手動入力によるテストも並行して行われており、その結果はニューラルネットワークの「追加トレーニング」に利用されるのだという。このプロジェクトを進めていく中で、人間のオペレータの介入を大幅に減らすことを目標に掲げている。

MKSのミハイル・デミン代表は「自己学習システムに基づく現代的なソフトウェア・ソリューションは、インターネットにおける海賊版との戦いの効率を大幅に改善し、正規ビデオサービスの利用をさらに促進するだろう」と述べている。

完全に自動化された海賊版対策は、特にマシンによる誤削除の問題は指摘されている。しかし、ロシアの通信監督機関「ロスコムナゾール」のトップ、アレクサンダー・ザロフは、可能な限り人間を排除することで、システムの効率化が図れると考えているようだ。

「覚書の両当事者にとって、大きな前進だ」と述べている。

「この覚書の範囲内での自動化ソリューションは、より迅速な対応を可能にし、『人的要因』によるリスクを減らしてくれるだろう」

開発中のシステムが従来にない新たな海賊版対策システムであるのか、「自己学習」コンポーネントが著作権侵害と思われるURLをかき集めてレジストリに送るだけなのかといった詳細については明らかにはされていない。

いずれにしても、βテストはすでに実施されており、7月末までに著作権者への提供が開始される予定だ。

現在、覚書とそれを支える技術的な取り組みは、2019年11月1日に終了する合意に基づき、自発的に行われている。だが、各当事者がかなり前向きにコミットしていることを考えれば、いずれ覚書の取り決めは同国の法律に置き換わることになるのだろう。

Media & Telecoms Companies Reveal “Self-Learning” Anti-Piracy System – TorrentFreak

Author: Andy / TorrentFreak / CC BY-NC 3.0
Publication Date: May 29, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: Tony Hisgett / CC BY 2.0