以下の文章は、TorrentFreakの「RapidVideo Blocks Pirate Sites Over Copyright Concerns」という記事を翻訳したものである。
人気のファイル共有サイト「RapidVideo」は、しばしば海賊版の温床とみなされてきたが、同社はこれを強く否定してきた。同サイトは現在、このスタンスどおりの対応を開始している。つまり、海賊版サイトからのアクセスを禁止し始めたのだ。同社はこの措置について、欧州の厳格な著作権法に備え、法的責任を回避するためだという。
RapidVideoは、動画ホスティングに特化した人気のファイルホスティングサイトだ。
他のファイルホスティングサービス同様に、RapidVideoは適法に利用することもできれば、悪用することもできる。この場合の「悪用」は、海賊版ビデオのアップロードだ。
サイト運営者がそれを望んでいるかはさておき、RapidVideoの多くのユーザがそうしている。それゆえ、同社はハリウッドを代表するMPAAから「悪名高き」海賊版天国との痛烈な批判を浴びている。
ただ、米国通商代表部(USTR)の年次報告書では、MPAAの勧告は採用されなかった。RapidVideoの強気の反論が影響したかは定かではない。だが、同社は最近、「悪名高き」サイトには似つかわしくないいくつかの対策を講じた。
4月、RapidVideoはペイ・パー・ビュー報酬プログラムを終了した。これはMPAAが強く不満を抱いていたものだ。そして今週、RapidVideoはさらに一歩進め、人気の海賊版ビデオインデックスサイトからのリファラを遮断し始めた。
サイト運営者はTorrentFreakに対し、ドイツのKinox.to、Streamkiste.tv、Filmpalast.to、Movie4k.toからのリファラをアクティブにブロックしていると語った。ユーザがアクセスした場合、リクエストしたビデオではなく、以下のメッセージが表示されている(ドイツ語からの翻訳)。
「申し訳ありません! このポータルは、著作権保護要請に基づき一時的に利用できません。残念ながら、このコンテンツはお住いの地域では利用できません」
このメッセージは、上記の4ビデオインデックスサイトからアクセスするすべてのユーザに表示される。現在は参照元URLに基づいて表示しているが、それが回避されるようになれば、IPアドレスブロッキングの追加も検討しているとRapidVideoは言う。
RapidVideoがこの思い切った措置に乗り出したのは、ドイツの法的概念である「Störerhaftung(中間者責任)」を特に懸念してのようだ。たとえ意図的な役割を果たしていないとしても、第三者が他者の著作権侵害に責任を負うことを意味している。
さらに、EU著作権指令の第17条(かつての第13条)が整備されることを考えれば、著作権に絡むさまざまな潜在的問題が抱えることになる。
「第13条は、今後数ヶ月から2年の間に導入されることになります。『中間者責任』と『第13条』は悪い意味で相性がよく、それゆえ管理を更に厳しくせざるを得ないのです」とRapidVideoの運営者は言う。
RapidVideoの運営者によると、EUの各加盟国で第17条に準拠した国内法が整備されていけば、同様のブロッキングがさらに広がる可能性があると強調する。
なお、この4サイトは、すでにドイツのISP「Vodafone」からもブロッキングされている。RapidVideoが4サイトを対象としたのは、こうした背景もあることをTarnkappeが伝えている。
RapidVideoのようなビデオホスティングサイトが、「海賊版」サイトの遮断を開始したという事実は、「潮目が変わった」ことを意味しているのだろう。Kinox.toがRapidVideoへのリンクをすべて削除したことを考えれば、すでにその影響は出始めている。
Movie4Kは別のアプローチを取ったようだ。同サイトのRapidVideoリンクからアクセスしてみたところ、匿名リファラサービスを経由して、ブロッキングを回避することができた。
ブロッキングが抱えている問題は、常に回避する方法が存在することにある。
RapidVideo Blocks Pirate Sites Over Copyright Concerns – TorrentFreak
Publication Date: May 30, 2019
Translation: heatwave_p2p
Material of Header Image: jurek d. / CC BY-NC 2.0